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2024.03.16 14:00

ナルシシストの「愛の罠」から抜け出す2つの方法

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自分は優れているとうぬぼれ、常に賞賛されたがり、他の人のニーズよりも自分の欲求を優先する傾向のある人と付き合っていたことがあるなら、その相手はおそらくナルシシストだ。

自己愛性パーソナリティ障害(NPD)の人は、自己高揚的な行動に走りがちで、パートナーからの承認と称賛を求めつつも共感性に欠けている。このため、パートナーを対等な存在ではなく物のように扱うことがある。

ナルシシストがパートナーとどのように接するのか、その複雑さを探ると、交際関係の中で繰り広げられるエゴ、承認、感情的なつながりが生むダイナミックな相互作用についての知見が得られる。

ナルシシストの愛の対象になるのはどんな気分?

ナルシシストの恋愛対象になったという体験談は、感情を揺さぶられ、相反する描写に満ちている。自己中心的な人から愛された人はバランスを崩し、愛に対する見方や感じ方が歪められてしまう可能性がある。

しかし、ほとんどの体験談には共通する3つの要素がある。以下のようなものだ。

1. こちらは相手を愛すが、相手は自己愛におぼれる

ナルシシストとの関係の初期段階は、強烈な多幸感を喚起することが多い。彼らの魅力、カリスマ性、そして一見真摯な愛情は、情熱とわくわく感に満ちた魅惑的な旋風を巻き起こす。しかし、ナルシシストの愛は本質的に利己的なものであるため、この多幸感の下にある基盤は脆弱だ。

ナルシシストはパートナーを、自分の承認欲求を満たし、脆弱なエゴを支える手段として捉えている。表面上の愛情表現にもかかわらず、この関係は基本的に一方的であり、ナルシシストは自分のニーズと欲求を優先している。

研究によれば、ナルシシストは他者に対する優越意識を優先することが確認されている。特に、他人の反応に対する強い関心と、揺らぐ自意識が顕著に見られる。関係の中で作り出される愛の幻想と搾取の現実との著しい落差が、その先に待つ波乱に満ちた旅路の舞台をセッティングする。

2. 相手の感情が些細なことでコロコロと変わる

関係が進むにつれ、感情のジェットコースターは激しさを増し、パートナーを不確実性と不安定さの渦に巻き込む。計3560人の参加者が対象となった最近の研究7件では、ナルシシストの短期的な魅力は主に賞賛と結びついているが、長期的な関係における問題は、他者をおとしめ、対抗的な自己防衛に走る競争意識から生じることが強調されている。

愛され、大切にされるという高揚感の後には、捨てられたり軽んじられたりするどん底が待っている。この理想化と格下げの絶え間ないサイクルにより、対象者は自尊心と心理的安全性を損なわれ、相手の愛情の次なる急変に備えて絶えず緊張状態に置かれる。感情的な代償は深刻であり、対象者はどうしたらよいかわからなくなり、傷つきやすくなり、精神的に消耗し、永遠に続く混乱と不安の中に閉じ込められてしまう。
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翻訳=酒匂寛

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