3. すべてはまやかし
ガスライティング(加害者が被害者に誤った情報を信じ込ませて正常な判断力を奪う心理的虐待)と操作は、ナルシシストがパートナーに対して優位に立つために密かに用いる戦術だ。巧妙な心理操作を通じて現実を歪め、疑いと混乱の種をまく。ガスライティングの手法には、パートナーの懸念を軽視したり、過去のできごとを歪曲したり、自分に有利な物語を形作るためにあからさまな嘘をついたりすることも含まれる。学術誌Journal of Sexual Aggressionに掲載された研究論文によれば、ガスライティングを行う者は、情緒応答性の欠如、引きこもりがち、無責任、衝動的、注意散漫、自覚の欠如といった共通の性格特性を示すことが多い。
時間が経つにつれ、ナルシシストの愛情の犠牲者は、これらの操作的な戦略を内面化し、自分の正気と認識を疑うようになる。このような自信の喪失は、自己肯定感と自尊心の深い喪失につながり、被害者はますますナルシシストの承認と指示に依存する。ひとたび操作の網に絡め取られると、ナルシシストの支配から抜け出すのは困難となる。
相手の化けの皮が剥がれ始めたらどうすればよい?
ナルシシストの最大の武器は、同時に最大の弱点でもある。それは、自分以外に目を向けることができない点だ。この盲点を利用して、ナルシシスト自身の仕掛けたゲームの中で彼らに打ち勝つ方法を紹介しよう。・グレイロック法を使って彼らを人生から追い出す。
グレイロック法は、感情的に無反応になることでナルシシストに対処する戦略だ。基本的には、操作的・虐待的な会話から距離を置くために、相手の興味を引かない反応を意図的にする。これには、感情的な反応を最小限に抑える、議論を避ける、やり取りを簡潔かつ中立に保つなどのテクニックが含まれる。相手が求める感情的反応や注目を与えずに済むため、ナルシシストの戦術を無力化し、その過程で危害から自分を守れる。
・相手の主張に綻びを見つける
カナダのマギル大学の研究者ウィリス・クラインは、ガスライティングに直面した場合には、相手の行動を注意深く観察することを提案している。ガスライティングを行う者の言動には説得力があるように見えるが、しばしば矛盾を露呈する。「あなたに対する相手の態度と、あなたの生活圏にいる他の人にどう接しているかを比較せよ。相手の物語に責任を持たせるのだ。そこで見つかる矛盾は、あなた自身の物語のコントロールを取り戻すのに役立つはずだ」とクラインは述べている。
真の癒しは、有害な関係からただ抜け出すだけでなく、自尊心と自己肯定感を積極的に再構築しなければ得られない。これには内観、内省、自己慈愛の育みが必要となる。健全な境界線を確立し、個人の幸福を優先することが最も重要だ。セラピーを通じて困難な経験を処理し、トラウマに対処し、回復力を高める対処法を身につけるための貴重な道筋を示してもらうこともできる。
(forbes.com 原文)