6日は、西部地区重要作戦訓練基地での実動訓練だった。金正恩氏は黒い革ジャンパーを身にまとい、新しい戦闘服に身を包んだ将軍たちを従えてさっそうと登場した。ヘルメットと防弾チョッキ姿の北朝鮮軍兵士たちがソ連式AK74をコピーしたとされる88式小銃やロケットランチャーなどで武装して突撃した。ヘリコプターから降下する様子も写っていた。正恩氏自らが小銃を構えて指導する写真もあった。陸上自衛隊中部方面総監を務めた山下裕貴・千葉科学大客員教授は「訓練は市街地戦か対テロ作戦、いわゆる低強度紛争レベルのものでしょう。北朝鮮に侵入した小部隊の撃破や要点確保のための作戦だと思います。参加部隊も後方地域の警備部隊か治安部隊ではないでしょうか」と語る。山下氏によれば、訓練は小火器射撃、ヘリコプターによる部隊の機動・展開などだったが、「基礎的な訓練であり、米韓に大きなインパクトはない」という。
韓国の国防力強化などを訴えて2003年に結成された市民団体「自主国防ネットワーク」の事務局長で、韓国メディアなどでの軍事解説で活躍している李逸雨(イ・イルウ)氏は「将軍たちは新しい戦闘服を着ていたが、兵士たちの戦闘服の迷彩パターンがバラバラで、寄せ集めという印象を受けました」と語り「防弾チョッキの着用も雑で急所をうまくカバーできていません。西欧国家の軍隊を映像や写真で見て真似ただけで、きちんと指導できる教官がいなのかもしれません」という。金正恩氏が自ら小銃を手に取り、構える写真も公開されたが、「最高指導者がやる必要もないし、構え方もいい加減でした」(李氏)という。