欧州

2024.03.11 09:30

ウクライナ海兵隊、ドニプロ川の別地点でも渡河 ロシア側は新型ミサイルで反撃

ウクライナ南部ヘルソン市近郊のドニプロ川に架かっていたアントニウスキー橋(Shutterstock.com)

先週、ダチで起こったことも、ウクライナ側によるジャミングのオン・オフの切り替えで説明できるかもしれない。ウクライナ側のジャミング装置「ブコベリ」を、ロシア軍第810海軍歩兵旅団の海軍歩兵はドローンで発見している。ブコベリが作動していれば、最大50kmほどの距離までドローンの制御信号をスクランブル(撹乱)できていたはずだった。
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ブコベリは、崩れたアントニウスキー橋の下のコンクリート構造物に隠されており、破壊するのは簡単ではなかったようだ。ロシア軍は5万ドル(約730万円)のブコベリを破壊するために、ヘリコプターを出撃させて新型誘導ミサイル「LMUR(イズデリエ305)」を発射することを余儀なくされている。

電波を妨害し、それから突撃する──。ウクライナの海兵は昨年10月にそうやってドニプロ川を渡り、クリンキに潜り込んだ。ダチへの潜入も同じやり方だったとみられる。

ウクライナ側が今後もダチを保持し続けるかどうかはわからない。海兵隊部隊は過去1年ほどの間に、アントニウスキー橋周辺で渡河襲撃を何度か行っているが、左岸での持続的なプレゼンスにはつながらなかった。ダチにいる海兵はすでに圧力にされており、ロシア側は今月初め、海兵が身を隠していたとされるダーチャの1つをロケット弾で攻撃している
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持続的な拠点になるかどうかとは別に、ダチの作戦は重要である。それはウクライナ側がどのように渡河作戦を実行しているのかを思い起こさせ、また、クリンキやダチをはじめ、ウクライナ側がドニプロ側沿いで部隊やジャミング装置を集中させた場所で、その戦術が有効であることをあらためて示すものだからだ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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