ゆえに、米国エネルギー効率経済協議会(ACEEE)によって認められた2024年の「最も環境にやさしいクルマ」のリストが、電気のみで走行するEVと、部分的に電動化されたハイブリッド車(HV)、そして内燃エンジンと併せて比較的容量の大きなバッテリーを搭載し、外部電源から充電可能なプラグインハイブリッド車(PHV)で占められたことは驚くに当たらない。
2024年の最もクリーンなクルマとして選ばれた12車種のうち、7車種が純粋な電気自動車であり、2020年の3車種、2023年の5車種から、今年はさらに増えている。また「環境にやさしいクルマは高すぎる」と文句をいう人のために、2024年版「最も環境にやさしいクルマ」12車種のうち7車種が3万5000ドル(約515万円)以下という価格から購入できることを記しておくべきだろう。
「手頃なEVの選択肢を迅速に増やし続けることが、自動車メーカーにとって重要です。それによって、より広範な所得層のドライバーがEVの利点を得られるようになり、化石燃料を燃やす自動車からの脱却が進むのです」とACEEEで交通機関調査のシニアアソシエイトを務めるピーター・ヒューザーは語る。「現在の充電インフラでは利用しづらいドライバーのために、手に入れやすい価格の燃費に優れたハイブリッド車もたくさん用意されてます」
EVの平均価格は昨年より18%下落
残念ながら2024年版の環境にやさしいクルマに選ばれているEVやPHVには、最大7500ドル(約110万円)の米国における税額控除の対象となる車種はない。その恩恵を受けるためには、米国内でバッテリーやその部品を調達し、車体の最終組み立てを行うという厳しい要件を満たした車種を購入しなければならない。少なくとも消費者の懸念に対する良い知らせは、フル電動モデルの平均価格が昨年、18%下落したと報じられていることだ。これは主に需要と供給のバランスによる反動を受けたためであり、サプライチェーンの改善とバッテリー価格の下落がそれを後押しした。
さらに、自動車メーカー各社はここ数カ月、生産したEVを売りさばくためにインセンティブ(販売奨励策)を強化し続けており、中には5桁(数百万円)にのぼる現金リベートや、金利0%融資の対象となるものもある。また、自動車メーカーの中には、税額控除規定の抜け穴を利用し、本来であれば税額控除の対象とならないクルマでも、リース・プログラムを通すことで、顧客に7500ドル全額を還元しているところもある。