映画と経営の共通項は、社会に向けたメッセージ性と情熱
谷本:是枝監督作品を通して、多くの方にメッセージが伝わり、多くの方を幸せにし、結果的に日本を豊かに出来るのかな、と考えておりました。そんな一連の派生をこのセッションのラップアップにさせていただけたら、と思います。是枝:映画を作る行為が、社会的に波紋を呼んで波及して広がり、皆が幸せな心持ちになるのは、とても嬉しいです。「世界が少しでも良くなったらいいな」と、いつも願っているので。でも、それが目的ではない。番組や映画作りを通して、気づいた事。それは、最初に変わるべきなのは、「自分」だという事。自分自身が面白いと思わないと、人の心は、決して動かないと思うんですよね。
谷本:確かに! 以前、AIを扱う起業家が何ておっしゃってたかっていうと「目の前にある事象に対して、僕は、AIの技術を使って課題を解決したくてしたくてたまらない情熱が迸る。そこには、マーケティングよりも重要な、心が存在するんだよ」と。そういう意味では、映画文化と経営との共通項があるのかもしれませんね。
まだまだお話を伺って参りたいところではございますが。是枝監督から沢山の金言をいただきました。本日は、ありがとうございました!
是枝裕和:早稲田大学卒業後、テレビ制作会社「テレビマンユニオン」で、ドキュメンタリー番組の制作に携わる。1995年、初監督作品「幻の光」で、ベネチア国際映画祭の撮影賞を受賞。その後、「DISTANCEディスタンス」と『誰も知らない』の2作品を同時にカンヌ映画祭のコンペティション部門に出品し、当時14歳だった柳楽優弥に、日本人初にして史上最年少の男優賞をもたらすなど、世界の是枝としてその名を轟かせる。福山雅治主演の『そして父になる』では、カンヌ国際映画祭コンペティション部門の審査員賞を受賞。さらに、空前のヒットとなった代表作『万引き家族』は、日本映画として、今村昌平監督の『うなぎ』以来、21年ぶりの快挙となる、カンヌ国際映画祭での最高パルムドールを受賞。また、近年では、Netflixドラマ「舞妓さんちのまかないさん」に初挑戦するなど、映像の垣根を越えて活動の場を広げている。