スペースXをめぐっては、従業員や元従業員からの訴訟が相次いでいる。
ロサンゼルス郡上級裁判所に訴えを起こしたのは、スペースXで生産管理を担当するミシェル・ドパック。上司に性的関係を強要され、妊娠すると中絶費用として10万ドル(約1480万円)を提示されたとしている。
ドパックが金銭の受け取りを拒否したところ、会社は上司と共謀し、上司が養育費の支払いを回避できるよう、上司名義のスペースX株370万ドル(約5億4800万円)相当を移し替えるのを許可したとされる。
訴状はさらに、スペースX経営陣がドパックに対し、同等の仕事を担当している男性従業員より低い賃金しか支払わず、女性差別があるとの苦情を無視したと主張。ドパックに過剰な仕事量を押しつけ、病気休暇を取ると早期復職を迫るなど、仕事を辞めさせようとしていると訴えている。
ドパックは差別、ハラスメント、報復、カリフォルニア州法違反で会社を訴えており、損害賠償を求めている。請求金額は不明。
フォーブスはスペースXにコメントを求めている。
スペースXは、賃金差別をはじめ、さまざまな職場の問題をめぐって従業員や元従業員から複数の訴訟を起こされているが、会社側は不正行為を否定している。
米司法省は昨年8月、採用にあたって難民や亡命申請者を差別したとしてスペースXを提訴した。この訴訟は現在係争中である。同10月には女性エンジニアが、女性やマイノリティーの従業員の賃金が男性や白人の従業員より2万3000ドル(約340万円)低いとして、同社を訴えた。また今年1月には、全国労働関係委員会(NLRB)が、職場における問題点を記した書簡を同僚に配布した従業員8人をスペースXが解雇したのは違法だとして、訴訟を起こした。
イーロン・マスク率いる企業で訴訟に直面しているのは、スペースXだけではない。電気自動車(EV)大手テスラは昨年9月「黒人従業員に対する広範で継続的な人種差別」を容認しているとして、米雇用機会均等委員会(EEOC)に訴えられた。
そして今月4日、旧ツイッター(現X)の元経営幹部がマスクを訴えた。マスクが2022年にツイッターを買収するなり原告らを解雇し、約束された退職金を支払わなかったとして、計1億2800万ドル(約190億円)超の未払い退職金の支払いを求めている。
(forbes.com 原文)