働き方

2024.03.15 13:30

かつての「顧客」が「同僚」に。共感採用がもたらす大きな効果

「共感」が転職の決め手に

こうした状況は内田縫製も同じではあったが、情熱を注いだ自社プロダクトがその問題を打破した。

入社した2人のうち、前職は東京でまったく違う仕事をしていたというひとりに話を聞いてみたところ、幼少期を過ごした実家の周りは地域産業が盛んで、自分もいつか手触り感のあるモノづくりの仕事をしたいという思いがずっとあったそうだ。元々デニムが好きで趣味だったこともあり、内田縫製のインスタグラムを以前からフォローしていた。レインボーデニムも応援購入し、実際に届いて使用しているうちにより愛着が湧くようになっていたところに、SNSで同社の採用募集を見つけた。内田縫製のプロダクトが好きで、モノづくりのこだわりや向き合い方にも共感していたからこそ、自分の人生の転機になると感じてエントリーしたという。

思い起こせば、私たちマクアケ社にも、かつてはプロジェクト実行者として商品や店のプロジェクトを立ち上げていた人や、サポーターとしてたくさんの応援購入をしてくれた人が何人も入社している。企業理念やビジョン、製品やサービスに対する想いや考えに共感してくれる顧客のなかには、きっと仕事を通じて表現したい自己のあり方と、その会社との価値観が近しい場合が多いのだろう。特にそういった顧客とのつながりの先にある「共感採用」は、地方企業の採用課題の解決につながるものだと思う。


なかやま・りょうたろう◎マクアケ代表取締役社長。サイバーエージェントを経て2013年にマクアケを創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」をリリース。19年12月東証マザーズに上場した。

文=中山亮太郎 イラストレーション=岡村亮太

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年4月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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