AI

2024.03.11

「AIの推論」を支援しオープンソース化も支えるBaseten、60億円調達

(写真左から)Baseten共同創業者のAmir Haghighat, Tuhin Srivastava, Phil Howes, Pankaj Gupta(C)Baseten

テクノロジー企業は人工知能(AI)モデルの学習のために数十億ドル規模の費用を支払ってきたが、そのコストはAIが実際に使用される際の「推論(inference)」と呼ばれるプロセスにシフトし始めている。例えばChatGPTがリアルタイムで質問に答える際の計算処理を意味するこのプロセスは、昨年のエヌビディアのコンピューティング収益の40%を占めていた。

「もしも当社の事業収益の90%が学習で、10%が推論だったとしたら、AIはまだ研究段階だと言えるかもしれない。推論のためのコンピューティングパワーがこれほどの規模に達したことは、AIがついにメインストリームになりつつあることを示している」と、エヌビディアのジェンセン・フアンCEOは最近のWiredのインタビューで述べていた。

そんな中、数多くのスタートアップがAIの推論を支援しようとしている。その筆頭に挙げられるのがBaseten(ベーステン)と呼ばれる企業だ。サンフランシスコを拠点とする同社は3月4日、IVPとスパークキャピタルが主導したシリーズBラウンドで4000万ドル(約60億円)を調達したと発表した。このラウンドには既存投資家のグレイロックやConviction Partners、エンジェル投資家のLachy Groomらも参加した。同社の評価額は、関係筋によるとこのラウンドで2億ドル以上に達したとされている。

Basetenは、顧客がすでに学習済みのAIモデルを、一般向けのアプリケーションに展開することを支援する。顧客は、Basetenのクラウド上にモデルをデプロイすることで、バックエンドのインフラを構築する手間を省くことができる。同社のソフトウェアは、AIモデルへのトラフィック量に応じて、企業が対価を支払うコンピューティングリソースの量を自動的に調整する。また、GPUへのアクセスを求める顧客には、その提供を仲介する。

同社は、2019年の創業から2022年の末まで、他のスタートアップと同様なAIを用いたアプリの開発を支援するソフトウェアを販売していた。しかし、そのことは事業の発展につながらなかったとBasetenの共同創業者でCEOのTuhin Srivastava(トゥヒン・スリヴァスタヴァ)は述べている。
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編集=上田裕資

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