ベゾスの純資産額は、6日の米株式市場で取引が始まった直後に1950億ドル(約29兆1000億円)となり、マスクの1930億ドル(約28兆8000億円)を上回った。しかし、その後テスラ株が1日の下げ幅を4%から2%に縮小したため、マスクがすぐに全米一の富豪に返り咲いた。
マスクがフォーブスのリアルタイム長者番付で3位以下に転落したのは、2021年8月19日以来初となる。
マスクは2024年をフォーブスのリアルタイム長者番付トップでスタートしたが、1月下旬にフランスの高級ブランドグループ、LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンのベルナール・アルノー会長兼最高経営責任者(CEO)に「世界一の富豪」の座を奪われた。マスクの報酬が高すぎるとしてテスラ株主が起こした訴訟で、デラウェア州の裁判所が総額510億ドル(約7兆6000億円)の報酬パッケージを無効と判断したためだ。
マスクは2022年後半にも1位の座から転落している。これはテスラの生産計画をめぐる課題が報じられたことや、マスクによる440億ドル(約6兆6000億円)でのツイッター(現X)買収に対する投資家の懸念を受けて、テスラの株価が急落したのと同時期だ。その後、マスクは2023年6月8日に世界一の富豪の座を奪還した。
マスクが初めて長者番付トップ3に入ったのは2021年のこと。当時の純資産額は推定1510億ドル(約22兆5000億円)で、ベゾスに次ぐ2位だった。このときマスクはフォーブスに対し、ベゾスを抜いて世界一の富豪になった暁には「ジェフリー・Bに、数字の『2』の巨大な像と銀メダルを送る」とコメントしていた。
マスクの資産額は6日時点で、2023年末から550億ドル(約8兆2000億円)減少した。テスラ株が年初来30%近く下落したことで、マスクが約21%保有するテスラの株式資産価値が大きく目減りした結果だ。
ベゾスとマスクの純資産額の合計は約3900億ドル(約58兆2000億円)に上り、2023年の香港の国内総生産(GDP)に匹敵する。フォーブスの昨年9月の推計では、マスクの資産の約3分の2がテスラ株関連で、一方のベゾスは純資産の約85%がアマゾンの保有株約10%によるものだ。アマゾンの株価は今年に入って17%増、過去12カ月間では86%上昇している。対するテスラは年初来リターンが28%減、12カ月リターンが8%減となっており、投資家は利益率の低下を嫌気している。
この2人の億万長者は、米国一の富豪の座を争っているだけでなく、民間宇宙事業分野でもライバル関係にある。ベゾスのブルーオリジンとマスクのスペースXは、米航空宇宙局(NASA)の契約をめぐって争っている。
(forbes.com 原文)