米国産大豆の対中輸出額も、2022年比では減少したものの、2018年比では386%増加している。大豆は、ドナルド・トランプ前大統領が火ぶたを切り、ジョー・バイデン大統領が継続中の対中貿易戦争で最初に犠牲となった輸出品目だ。
2018年に中国は、米国産大豆の輸入を全面的に停止した。米国が約3500億ドル(当時のレートで約38兆5000億円)相当の中国からの輸入品に関税を課したことへの報復だ。当時、米国の輸出の大半は中国向けだった。
過去5年間で好調な対中輸出品目は、石油と大豆だけではない。民間航空機とその部品、乗用車、ワクチン、血漿、その他の血液分画製剤の輸出は2020年以降、毎年増加している。
これらは、2023年における米国の対中輸出の上位5品目だ。過去最高を記録したのは石油だけだが、他の品目についても、少なくとも中国側の買い手視点では、貿易戦争から立ち直り、前進したように見える。
一方、中国から米国が輸入している品目の買い手に関しては事情が異なる。国勢調査局のデータによれば、2018年~23年に米国の対中輸出が22.88%増加したのに対し、対中輸入は20.87%減少した。
従来は中国から輸入されていた物品の多くが、関税を回避するため、製造地や最終組立地を他のアジア市場(ベトナム、カンボジア、台湾、日本)にシフトしている。メキシコを経由して米国に輸入されている物品もある。
この影響で、米国の対中貿易赤字は急激に縮小している。貿易赤字相手国2位で急速に赤字額が拡大しているメキシコとの差は、5倍から2倍以下となった。
中国からの2大輸入品は、携帯電話・関連機器とコンピューターだ。この2品目の2023年の評価額はそれぞれ545億9000万ドル(約8兆700億円)と391億7000万ドル(約5兆8000億円)で、総額は937億6000万ドル(約13兆8600億円)と、続く11品目の合計を上回った。
それでも、関税が強化された2018年と比べると、2品目とも23%以上減少している。
2023年の対中輸入総額は4272億4000万ドル(約63兆1900億円)で、2012年以来最低となった。
一方、輸出総額は1478億1000万ドル(約21兆8600億円)で、過去3番目の高水準だった。
米国から中国への石油輸出は88.01%増の131億1000万ドル(約1兆9400億円)で、中国は米国にとって韓国、カナダ、シンガポール、英国、インドを抜いて第2位の石油輸出市場となった。これまで1位だった韓国に代わったのはオランダだ。
石油の積み出し港はルイジアナ州モーガンシティとテキサス州ボーモントの2カ所で、前者が総輸出の53%、後者が47%を占めている。
大豆に関しては、2023年は対中輸出が輸出全体の54%を占めた。これは、中国が米国産大豆の輸入を全面的に停止した2018年の18.18%を大きく上回る数字だ。ただ、過去10年間で見ると、ほとんどの年でほぼ同水準となっており、2016年には62.06%だった。
(forbes.com 原文)