欧州

2024.03.06

テスラのドイツ工場、停電で操業停止 送電塔に放火か

ドイツ・グリューネハイデにある米電気自動車(EV)大手テスラの工場(Sean Gallup/Getty Images)

ドイツ・ベルリン近郊にある米電気自動車(EV)大手テスラの工場が5日、停電により操業を停止した。警察は、工場近くの送電塔が放火された可能性が高いと発表した。この工場は欧州で唯一のテスラ工場だが、拡張計画に対して環境保護を訴える抗議運動が起きている。

独放送局ZDFによると5日朝、ベルリン南東にある送電塔で火災が発生し、消防隊が出動。この火災により、ベルリン東方約30kmのブランデンブルク州グリューネハイデにあるテスラ工場と周辺の町が停電に見舞われた。

ブランデンブルク州のミヒャエル・シュトゥーベルク内相は、警察が放火の疑いで捜査を開始したと発表。「数千人が電力供給を断たれ、危険にさらされている。このような妨害行為に対しては、司法を通じて最大限の厳しさで対応する」と述べたが、放火犯の身元をめぐる「時期尚早の憶測」はしないよう警鐘を鳴らした。

AP通信によると、警察は極左団体「ボルケーノ・グループ」が電子メールで送付した「犯行声明」の情報を掴んでおり、その内容はテスラの「極端な搾取状況」を非難するとともに「ギガファクトリーの完全破壊」を訴えるものだったという。

しかし、犯行声明が誰に送られたのか、この団体の背後にいるのが何者かはわかっていない。

工場の拡張に抗議している2つの環境活動団体の1つ「ロビン・ウッド」の広報担当者は、今回の事件に「まったく驚いている」とロイター通信に語った。

テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、放火犯を「地球上で最も愚かな環境テロリスト」「正しい環境目標を持たない連中の操り人形」と非難した

フォーブスはテスラに取材を申し込んだが、コメントは得られなかった。

テスラによると、ドイツ工場では年間37万5000台の「モデルY」を生産しており、今年1月に初めて週間生産台数が6000台に達した。2022年3月に開設したこのギガファクトリーでは1万2000人を雇用し、完全稼働後は年間50万台の生産を目指している。

テスラは昨年、同工場の蓄電池容量を年間100ギガワット時、年間生産台数を100万台まで増やす生産拡大計画を申請した。独国営放送局DWによれば、環境活動家らは工場および拡張計画を非難している。この計画には100ヘクタール以上の森林伐採が含まれており、地元グリューネハイデの住民投票で否決されたが、テスラは引き続き工場拡張を目指す方針を表明している。

こうした中、環境活動団体「ロビン・ウッド」と「ストップ・テスラ」は先週、工場近くの森林を占拠して、テスラに拡張計画を中止を求めていた。

なお、同工場の操業は今年1月29日から2月11日まで、紅海での貨物船への攻撃を理由に出荷が中断されたことでほぼ停止を余儀なくされていた。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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