イリュージョンはお守りになる
北野:米国のテレビショー出演、オーストラリアの公演などHARAさんは世界中を飛び回っていますが、リアルなエンターテインメントの人気がコロナ禍後に復活した印象がありますね。HARA:今いちばんホットなのはサウジアラビアです。僕も1月から公演しますが、これまで宗教上の理由で「不思議なことをやる人間は神を冒涜している」と逮捕されました。しかし3年ほど前から、僕たちにもビザを発給するようになり、堂々とショーができるようになったんです。現地の人はイリュージョンを生で見たことがなかったので、初めての不思議なショーに目を輝かせる。もう本当に夢中で見てくれます。2028年は大阪のIRに米MGMが上陸するので、日本も後に続いてほしいですね。
北野:もし、目の前にイリュージョニストになりたい10代が現れたら、どうアドバイスしますか?
HARA:絶対に目指したほうがいいと言います。世界中の人と一瞬でコミュニケーションが取れ、魅了できる。時間をかけて人を感動させるエンターテインメントは多くありますが、これだけ瞬時に人と人との壁を打ち破れる職業は最強です。もし別の仕事に就くときも、必ず役立ちます。
読者の皆さんへ「イリュージョンをポケットに1つ忍ばせてほしい」と伝えたいですね。飲み会の場がしらけたり、いきなり海外の人が来たり、うまく回らない状況でも安心感がすごいですから。最初は難しい顔で見ていた人も、パッと何かをやったら思考が一瞬止まって、うわっと顔が5歳児に戻る。その瞬間に交流できれば、どんな偉い人ともフラットになれます。ビジネスでも最高のコミュニケーションツールだと思いますよ。