ロシア国外でもかなりの数のプーチン大統領の批判者や亡命者が殺害されている。ロシア連邦保安庁(FSB)元職員のアレクサンドル・リトビネンコは2006年、英ロンドンで放射性金属のポロニウム入りのお茶を飲んで死亡した。2000年に英国に亡命したリトビネンコは、プーチン大統領の批判者として注目されていた。この事件以降、ソビエト連邦が開発した化学兵器であるノビチョクによって複数の大統領批判者が毒殺されている。その中には、ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)のセルゲイ・スクリパリ元大佐と娘のユリヤに対する2018年の毒殺未遂事件も含まれる。先月刑務所で死亡したナワリヌイも2020年に神経剤による攻撃を受けたが、一命を取り留めていた。
政財界の大物を標的にするだけでなく、ロシアはウクライナ侵攻を報道する記者をも厳しく取り締まっている。米国の非営利組織ジャーナリスト保護委員会(CPJ)によると、ウクライナ侵攻を取材して死亡した記者は計37人に上り、その死因の大半が「十字砲火」「危険な任務」「殺人」とされている。ウクライナ侵攻を取材したことで投獄された米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のエバン・ゲルシコビッチ記者とRFEのアルス・クルマシェワ編集長の2人の米国人を含め、少なくとも12人の記者がロシアで拘束されている。ロシアは米政府系のRFEとラジオ自由(RL)を「好ましくない」影響力として禁止している。
(forbes.com 原文)