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2024.03.25

人流データの集積から街づくりを変える 三井物産が挑む持続可能な都市DX

三井物産エネルギーソリューション本部Sustainability Impact事業部新事業開発室長・生澤一哲(右)とGEOTRA代表・陣内寛大

サステナブルな街づくりとはーー。新事業開発の経緯とこれからの都市DXについて、三井物産エネルギーソリューション本部Sustainability Impact事業部新事業開発室長・生澤一哲と、三井物産からの出向者であるGEOTRA代表・陣内寛大が語り合った。


生澤一哲(以下、生澤):三井物産エネルギーソリューション本部は、グローバルな社会課題である気候変動問題に対して、さまざまな事業領域において積み上げた知見を結集し、三井物産ならではの複合的な事業を推進するために2020年4月に設立された本部です。

そのなかでも我々のSustainability Impact事業部新事業開発室では、サステナブルな街づくりや暮らしを実現するべく、社会や顧客のニーズに応える新たなサービスの開発・事業化に取り組んでいます。その取り組みのひとつとして、2022年にKDDIとの合弁会社として設立したのが、人流データを活用した街づくりを支援する「GEOTRA」です。

陣内寛大(以下、陣内):GEOTRAは、KDDIがもつユーザーのGPSデータを活用し、「人流×ビッグデータ」という切り口から街づくりの変革に取り組んでいます。

生澤:三井物産として今後どのように都市DXに取り組んでいくか、GEOTRA設立の経緯を振り返りながらお話しできればと思います。

「仮想のペルソナ」をAIで生成 

――まず、GEOTRAの事業内容と技術的なポイントについて説明してもらえますか。

陣内:GEOTRAは人々の移動情報をプライバシーに配慮したうえで活用し、都市開発やマーケティングに役立つソリューションを提供しています。

従来、通信キャリアがもつGPS等の人流データは、プライバシーの観点から自由に活用できませんでした。「今日、新宿駅を訪れた人数は1万人です」といった粗いデータは取れるものの、「どんな人がどこから移動してきたのか」といった個々の移動に焦点を当てた情報は分析できなかったのです。

生澤:街づくりの観点では、人流は最も基礎的な情報であり、あらゆる都市の活動や課題を考えるうえで必要不可欠なデータです。

従って、詳細な移動履歴の分析が最も重要であるものの、個々人のプライバシーに配慮した対応が必要で、この両立が非常に難しい課題でした。

陣内:GEOTRAは、データを2段階に分けて処理することで、この匿名性と詳細さを両立しています。まず、通信キャリアの保有する人流データをもとに、人々の移動パターンを統計的に抽出します。そこで得られるのは、「渋谷区在住、大手町勤務の30代男性は、金曜日の夜に30%の確率で新橋に行く」といった統計的なパターンです。
高粒度人流データによる、仮想ペルソナの移動イメージ: AIを活用して生成された高粒度人流データにより、「渋谷区に在住の30代男性」が会社から自宅までどのようなルートで移動しているかといったシミュレーションが行えるようにする

高粒度人流データによる、仮想ペルソナの移動イメージ: AIを活用して生成された高粒度人流データにより、「渋谷区に在住の30代男性」が会社から自宅までどのようなルートで移動しているかといったシミュレーションが行えるようにする

――これはあくまでも確率的な傾向であって、特定の個人を指す情報ではないということですね。

陣内:その通りです。そして、この確率的なパターンをもとに、機械学習によって仮想のペルソナを生成します。ペルソナはそれぞれ「渋谷区在住、30代男性」といった属性情報をも持ち、シミュレーション上で現実の人間と同じように振る舞います。実在する個人の移動情報は使わずに、リアルな都市の人流をシミュレーションできるのです。

我々はこの仮想的な人流データを、「高粒度人流データ」と呼んでいます。

生澤:そのシミュレーションは、マクロで見れば現実を統計的に正しく反映しており、実質的に街での人流を可視化していることになります。

エビデンスにもとづく合意形成や開発の支援

生澤:人流の可視化は、さまざまな方面での応用が期待できると考えていますし、実際GEOTRAを設立後、さまざまな分野・お客様にご活用いただいています。

陣内:まずは、公共交通機関の運行計画や渋滞緩和策を検討する際に有効です。「この道路がボトルネックになっているから、ここに新たな道路をつくろう」といった判断をエビデンスをもとに行えるようになります。

生澤:交通の最適化は、地域のCO2排出量の削減にもつながるというサステナビリティの視点からも重要ですし、またシェアサイクルの導入やEV充電ステーションの設置場所検討など、新たなモビリティサービスの提供に対しても有益です 。

陣内:さらに、再開発計画を立案する際のエビデンスとしても活用できると考えています。

例えば、東京駅付近を再開発する場合、丸の内や八重洲において、実際にどんな属性の人がどのように移動しているのかという情報は極めて重要になります。

生澤:再開発においては、都市の既存の使われ方を踏まえて、変えるべきところとそうでないところを判断していく必要があります。ステークホルダーが多く、市民の理解も得なければならない。合意形成のためには、今街で起きていることを正しく客観的に把握することが必要で、GEOTRAが提供する分析やシミュレーションはまさにそういった情報を提供してくれるものと我々は考えています 。

陣内: 都心部において、開発できる面積は年々小さくなっていくでしょう。空いたスペースをどう活用すると最も効果を上げられるのか。緑地をつくる、カフェを開くなど、さまざまな選択肢のなかでベストな施策をどう選んでいけばいいのか。そんな場面でも、ぜひ人流データを活用してもらいたいですね。


いけざわ・かずのり◎三井物産エネルギーソリューション本部 Sustainability Impact事業部 新事業開発室 室長。北米、欧州、アジアで電力などの大型インフラ事業の開発およびM&Aに従事。2019年より現職。

じんない・のぶひろ◎2018年三井物産入社。DX関連事業立ち上げや全社DX戦略の策定等を担当。2020年よりスマートシティ等の新規事業開発に従事し、KDDIとともに、GEOTRAを設立。代表取締役社長を務める。

Promoted by 三井物産 text by Tomoya Matsumoto | photograph by Kei Ohnaka | edited by Daisuke Sugiyama(Note, Ltd.)

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