ドイツのアクセル・シュプリンガーやノルウェーのシブステッドを含むメディア企業は、グーグルのデジタル広告における不正行為の影響で市場での地位を失い、収益が著しく低下し、アドテクサービスに過剰な手数料を支払っていると主張している。彼らは21億ユーロ(約3420億円)の損害賠償を求めている。
競争法に特化した弁護士事務所Geradin Partners(ジェラディン・パートナーズ)の創設パートナーのダミアン・ジェラディンは「グーグルの不正行為の結果、市場競争が弱まり、各社は損失を被った。彼らが補償を行うべきときが来た」と述べている。
欧州においては以前から、グーグルの広告慣行に対する懸念が浮上していた。フランスの競争当局であるCNILは2021年、グーグルが競合他社よりも自社のツールを優遇することで、アドテクにおける支配的地位を乱用していると認定し、2億2000万ユーロの罰金を科していた。
さらに欧州連合(EU)の欧州委員会は昨年、グーグルのインターネット広告事業に競争法(独占禁止法)違反の疑いがあると警告した。グーグルは、オンライン広告の仲介スキームにおいて、広告主や媒体社が同社のアドエクスチェンジサービス(Ad Exchange)を利用するよう強制したと指摘された。
「グーグルの慣行は、同社の競合だけでなくパブリッシャーの利益にも害を及ぼし、同時に広告主のコストを増加させた可能性がある」とその当時、欧州委員会で競争政策を担当していたマルグレーテ・ヴェスタエアー執行副委員長は述べていた。
一方、英国の競争市場庁(CMA)は、2020年にアドテク分野で重大な問題を認識し、2022年5月にグーグルの反トラスト法違反の調査を開始し、現在もその調査を継続している。
また、米国においてもテキサス州を筆頭に各州の検事総長が同様の懸念を調査しており、司法省は昨年1月にグーグルに対する独自の民事訴訟を開始した。
しかし、グーグルは欧州で起こされた訴訟を争うつもりだと述べている。
「グーグルは、欧州全域のパブリッシャーと建設的な協力関係を築いている。私たちの広告ツールや、アドテクノロジーの競合他社が提供する広告ツールは、何百万ものウェブサイトやアプリがコンテンツに資金を提供し、あらゆる規模の企業が新規顧客を効果的に獲得できるよう支援している」とグーグルの法務ディレクターであるOliver Bethellは述べている。
「これらのサービスは、パブリッシャーとのパートナーシップの中で進化している。この訴訟は不確かな情報に基づいたものだ。我々は、事実に基づいて激しく反対する」とBethellは続けた。
(forbes.com 原文)