暗号資産

2024.03.04

クラウド型の暗号資産マイニング「Bitfufu」が米ナスダックに上場

Bitfufuの創設者でCEOのレオ・ルー(C)Bitfufu

シンガポールを拠点とするクラウド型の暗号資産マイニングプラットフォームのBitfufuは、長らく延期されていた米国のアドバイザリー会社MSQ Venturesの特別買収目的会社(SPAC)との合併契約を完了させ、3月1日に米ナスダックに上場した。

Bitfufuが最初に上場を試みたのは、2022年1月にMSQ Venturesが設立したSPACとの合併に合意したときのことだった。この取引におけるBitfufuの評価額は15億ドル(約2250億円)だったが、暗号資産市場のボラティリティのため、取引は何度も延期された。

しかし、ここ1年間で暗号資産市場は、2022年にこのセクターを震撼させたサム・バンクマン=フリードのFTXの破綻などのスキャンダルから力強く立ち直った。

ビットコインの価格は最近、6万1000ドルを突破し、史上最高値の約6万9000ドルへの到達が期待されている。アナリストはこの上昇の背景に、米国で現物ビットコインETFが承認されたことや、4月に新たなビットコインの供給を減らす「半減」イベントが控えていることを挙げている。

今回の合併手続きの完了で、Bitfufuは既存株主のBitmain(ビットメイン)と、その関連会社のAntpool(アントプール)から7400万ドルのPIPE(上場企業の私募増資)を受けた。ビットメインは、暗号資産分野のパイオニアとして知られる中国人起業家のジハン・ウーが設立した企業だ。Bitfufuは、新たな資金をマイニングサービスの拡大に充てると述べた。

Bitfufuの創設者でCEOのレオ・ルー(Leo Lu)は「ナスダックへの上場は、この業界に必要不可欠な信頼と信用をもたらすものだ。世界的な資本市場を利用することで、当社はより優れたマイニングサービスを提供できるようになる」と声明で述べている。

Bitfufuという社名は、ビットコインの「bit」と中国語で富を意味する言葉の「fu」を組み合わせたものという。同社は元ビットメインの取締役だったルーが、2020年に設立した企業で、顧客が高価なマイニング機器を購入することなく、ビットコインを採掘できるクラウド型のマイニングプラットフォームを提供している。Bitfufuはまた、マイニング機器の販売やハウジングのサービスも提供している。

実現に漕ぎ着けた数少ないSPAC案件

同社の2023年上半期の粗利益は780万ドルで、前年同期から18%増加したとBitfufuは述べている。上半期の総売上高は前年同期比64%増の1億3400万ドルで、クラウドマイニングサービスがその半分以上を占めている。Bitfufuの最大の顧客は、シンガポールのブロックチェーン技術ソフトウェアサービスプロバイダーのChainUp社とされている。

BitfufuとAriszとの合併は、ここ数年の暗号資産業界のSPAC案件の中で、実現に漕ぎ着けた数少ない案件の1つとされる。もう1つの成功した合併としては、昨年4月にナスダックに上場した前述のウーが創業したマイニング企業のBitdeer Technologies(ビットディアー・テクノロジーズ)の例が挙げられるが、同社の株価はその後40%近く下落した。

上場を断念したこの分野の企業としては、ピーター・ティールらが支援する取引所のBullish(ブリッシュ)と、ステーブルコインの発行会社のCircle(サークル)が挙げられる。両社とも2022年後半にSPACを用いた上場を中止した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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