欧州

2024.03.03 11:00

ウクライナの砲弾不足問題に光明、欧州経由で100万発出荷か

ウクライナ軍はここ数カ月、自爆型の1人称視点(FPV)ドローン(無人機)を月に5万機投入して砲弾不足をいくらか補っているが、FPVドローンは155mm砲弾に完全に取って代わることはできない。ドローンは約450gの爆薬を搭載して3kmほど飛行するかもしれない。一方、砲弾は約11kgの爆薬を少なくとも約24km先に飛ばす。

ウクライナ軍の砲撃を恐れなくなっているロシア軍は、ウクライナ軍の要塞を吹き飛ばすほどの集中砲火を行うために砲台を大っぴらに集結させている。もっと砲弾があれば、ウクライナ軍の砲兵はロシア軍の砲兵を追い散らすことができる。

EUが2023年にウクライナに砲弾100万発を供給するという約束を守っていれば、米共和党による突然の弾薬供給の阻止は、ウクライナの戦争計画にそれほど壊滅的な影響を与えるものになっていなかったかもしれない。

多額の資金や政治的資本を投じることなく砲弾の生産量を拡大するのに苦慮したEU諸国が昨年ウクライナに提供できた砲弾は結局、わずか50万発にとどまった。これは恥ずかしい裏切り行為で、EUは今、3月までに17万発の砲弾を出荷することで取り繕おうとしている。

同時に英国、フィンランド、その他の北大西洋条約機構(NATO)加盟国は個別に、年間を通じてウクライナに未公表の量の砲弾を提供することを約束している。おそらく月に数千発ほどだろう。

だが、チェコがウクライナ軍の砲弾不足を一変させようとしている。同国のヤン・イレッシュ国防政策局長は2月18日、ドイツで開催されたミュンヘン安全保障会議で、チェコが「欧米以外の国に眠っている」砲弾80万発を特定したと発表して出席者を驚かせた。その欧米以外の国には韓国も含まれているらしい。

砲弾は15億ドル(約2250億円)で入手できる。

米政治専門サイトのポリティコの記者ポール・マクレアリーや他の情報筋によると「これらの国々のほとんどは、政治的な理由からウクライナを直接支援するのは避けたいため、仲介者が必要だ」とイレシュは指摘した。ウクライナを支援する国々が砲弾の代金を負担するなら、チェコがその仲介役を引き受けるだろう。
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翻訳=溝口慈子

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