中国の湖南省を拠点とするウィブルは2月28日、同社の株式取引プラットフォームの価値を約73億ドル(約1010億円)と評価する取引で、SKのSPACであるSKグロース・オポチュニティーズと合併することに合意したと発表した。ウィブルは、SKグロースから約1億ドル(約150億円)を受け取る見込みで、この取引は規制当局と株主の承認を経て、今年の下半期に完了予定という。
「SKグロースとの経営統合は、当社にとって重要なマイルストーンとなる。SKのパートナーシップと経験は、ウィブルを世界の新世代の投資家に選ばれるプラットフォームにするという当社の長期的なビジョンに完全に合致している」とウィブルの創業者でCEOのワン・アンカン(Anquan Wang)は声明で述べた。
ウィブルは、中国のアリババとシャオミの元社員のワンが2016年に設立した企業だ。ブルームバーグによると、同社の親会社のFumi Technology(フミ・テクノロジー)は、2021年の調達ラウンドで非公開の投資家から1億5000万ドルを調達した際に10億ドル以上の評価を受けていた。フミ社の他の出資者には、シャオミの共同創業者のレイ・ジュンの投資会社のShunwei Capitalや、中国の資産管理会社ノア・ホールディングスが含まれる。
オンライン株取引サービスを提供するウィブルは、2018年に米国に進出し、手数料無料の取引を提供している。同社のプラットフォームは、2021年のミーム株のブームが起きた際に米国で注目を集め、ゲームストップやAMCエンターテインメントなどの株を求める個人投資家が殺到した。ウィブルは、2023年4月に日本でのサービスを開始し、他にもオーストラリア、カナダ、香港、メキシコ、シンガポールなどの世界15地域で3500万人の登録ユーザーを抱えている。
ブルームバーグは2021年に、同社が米国での新規株式公開(IPO)で3億ドルから4億ドルの調達を目指していると報じていた。SPACとの合併を通じた上場は、パンデミック時にウォール街で大流行したが、昨年からの一連の企業の倒産や株価の下落を受けてブームが終了し、ここ最近はごく稀なものとなっている。
SKグロース・オポチュニティーズは、設立当初はESG(環境・社会・ガバナンス)分野に焦点を当て、2022年6月のナスダックへの上場で約2億ドルを調達していた。
通信やメモリーチップ、電気自動車用バッテリーを主な事業とするSKグループは、以前にもフィンテック関連に投資しており、米国のイーサリアム関連技術開発企業でマイクロソフトやテマセク、ソフトバンクらが支援するConsensys(コンセンシス)や、韓国のモバイル金融サービスプロバイダーのFinnq(フィンク)などにも投資を行っていた。しかし、SKは2022年にフィンクの株式をハナ金融グループに売却した。
(forbes.com 原文)