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2024.03.04

「生成AIの収益化」に悩む中国の検索大手バイドゥの苦境と光明

ロビン・リー(李彦宏)Photo by VCG/VCG via Getty Images

中国の検索エンジン大手バイドゥ(百度)の会長でCEOのロビン・リー(李彦宏)は、ここ最近、急成長中の人工知能(AI)分野への取り組みを強化しているにも関わらず、今後の成長見通しについて投資家を説得するのに苦戦している。

バイドゥが2月28日に発表した第4四半期決算は、売上高が前年同期比6%増の約350億元(約7330億円)となったが、純利益は48%減の26億元に急落した。これを受け、香港市場と米ナスダックに二重上場する同社の株価は、ナスダックで8%下落した後、29日の香港市場で7%以上下落した。

この急落は、一部の優先株の評価額が会計上変更されたことも一因だが、投資家が同社の成長スピードを懸念していることの現れだ。バイドゥの2023年最後の3カ月間の売上高の伸びの6%は、前四半期と同水準ではあるが、第1四半期と第2四半期の10%増と15%増に比べるとはるかに見劣りする。

香港を拠点とするEverbright Securities Internationalのストラテジストのケニー・ウンは、少なくとも2024年の前半については、投資家の熱意が再燃する可能性が低いと述べた。売上高の半分以上をオンライン広告に頼るバイドゥは、景気の低迷にあえぐ中国企業が広告費を減らす中で、需要の低下に直面している。

一方、OpenAIのChatGPTのような生成AIに関するバイドゥの取り組みは、まだ収益を生み出していない。同社は昨年10月、AIモデルErnie(アーニー)の最新版のErnie 4.0を発表し、複雑な数学の問題を解いたり、推論を使って質問に答えたりできる点で、この製品の能力がOpenAIのGPT-4と同程度だと述べていた。

しかし、1億人以上のユーザーを集めているアーニーのチャットボットの収益貢献は、わずかなものにとどまったと、バイドゥの幹部は28日のアナリストコールで語った。一方でCEOのリーは、第4四半期の売上高の上昇は、バイドゥが外部企業の独自のAIモデルの構築を支援し、顧客がより質の高い広告を掲載したためだと説明した。
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編集=上田裕資

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