北米

2024.03.02

中国製EVが「米国の機密を盗む」懸念、バイデン政権が規制検討

Photo by Lars Penning/picture alliance via Getty Images

米国のバイデン政権は2月29日、高い関税のために現在は米国にほとんど輸入されていない中国製の電気自動車(EV)が、米国人の機密データを収集し中国政府に送信する懸念があり、いずれ国家に重大なリスクをもたらす可能性があると発表した。

バイデン大統領は声明の中で「私は、中国のような懸念のある国から輸入された自動車が、我が国の国家安全保障を損なうことがないよう前例のない措置を発表する」と述べた。「私は、懸念される国々からのテクノロジーを使用したコネクテッドビークル(インターネットに接続可能な車両)に関する調査を実施し、リスクに対応するための行動をとるよう商務長官に指示した」と大統領は続けた。

米国国家経済会議(NEC)のラエル・ブレイナード理事は、フォーブスに対し、新たな規制の導入は早急に行う必要があると語った。「中国はこの分野で巨大なキャパシティを築いている」と彼女は述べている。

バイデン政権は今後、これらの自動車をどのように規制するのがベストなのかを決める、正式なプロセスを開始し、パブリックコメントで意見を募るとしている。このような規則は、キューバやイラン、北朝鮮、ロシア、ベネズエラなどの国々の製品にも適用される可能性がある。しかし、これらの国々の中で現在、中国のような規模で自動車を製造している国は存在しない。

昨年、中国は日本を抜いて世界最大の自動車の製造国となり、中国の大手自動車メーカーのBYDは最近、テスラを抜いて世界最大のEVメーカーとなった。BYDのEVの販売台数は、2023年第4四半期に53万台を記録し、テスラの48万5000台を上回った。

ジーナ・レモンド商務長官を含む政権高官は28日、記者団との電話会談で、連邦当局は特定の新たな脅威に対応しているわけではないが、外国の敵対者が米国人の機密情報を収集できるかもしれないという「ハイレベルの懸念」があると語った。

「EVと自動運転車に関連する国家安全保障上のリスクについては、私たちが調査をすればするほど、より強い懸念が浮上している」と彼女は述べていた。

政府高官らは、これ以上の詳細情報の提供を拒否した。しかし、ある政府高官は、中国車への懸念は現状では差し迫った脅威ではないが、今後の数年以内に対処が求められると語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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