経営・戦略

2024.03.01 12:00

ディズニーがインドでの事業拡大に終止符、現地財閥リライアンスとの統合で

Photo Illustration by Idrees Abbas/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

米ディズニーは2月28日、同社のインド事業を現地の大手財閥リライアンス・インダストリーズと統合し、新たな合弁会社を設立すると発表した。同社は、この新会社の価値が85億ドル(約1兆2700億円)になるとしている。

ディズニーによるとこの取引は同社が所有するスターインディアとリライアンス傘下のViacom18とを合併させるもので、新会社は2つのストリーミングプラットフォームで少なくとも98のテレビチャンネルを放送するという。また、この合弁会社はインドにおけるディズニー作品の独占的な権利を取得し、3万以上のコンテンツのライセンスを付与される。

ムケシュ・アンバニが率いるインド最大の民間企業であるリライアンスは、この取引に14億ドルを投資した。

ムンバイを拠点とするリライアンスは、この新会社を支配し、約16%の株式を保有することになる。また、Viacom18が46%を保有し、ディズニーは37%を保有することになる。アンバニの妻のニタが新会社の会長に就任する。合併は2024年の最終四半期か2025年の第1四半期までに完了する予定とされている。

観測筋は、この動きがディズニーのインドでの拡大の野望に終止符を打つものだと解釈しており、ニューヨーク・タイムズは、同社がリライアンスという「地元のヒーロー」に敗退したことが証明されたと報じている。また、アクシオスは、この取引がディズニーにとって「かつてはもっと大きな期待を抱いていた市場で小さな足場を保つ」ための方法だと述べている。

フォーブスは、アジアで最も裕福な人物であるアンバニの保有資産を1138億ドルと試算している。リライアンスは、石油化学や小売、電気通信などの事業を展開する財閥で、アンバニの父親が1996年に設立した。新たに誕生する合弁会社は、インドで7億5000万人以上の視聴者を見込んでいる。

スターインディアは、もともと21世紀フォックスの傘下の企業だったが、2019年3月にディズニーが710億ドルで21世紀フォックスを買収したことで、同社はディズニーの支配下になった。

ディズニーはその後、インド事業に苦戦し、特に2022年にインドのプレミアリーグのストリーミング放映権をリライアンスに奪われた後に、厳しい状況に追い込まれた。ロイターによると、同社は昨年7月にインドの資産の売却を模索し始めていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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