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2024.03.01 13:30

ニュージーランド、たばこ販売禁止法を撤回 政権交代で方針転換

ニュージーランド北部オークランドの病院前で、禁煙法を撤回する計画を示したクリストファー・ラクソン首相に抗議する女性。2023年12月13日撮影(Lynn Grieveson/Getty Images)

ニュージーランド北部オークランドの病院前で、禁煙法を撤回する計画を示したクリストファー・ラクソン首相に抗議する女性。2023年12月13日撮影(Lynn Grieveson/Getty Images)

ニュージーランド政府は2月27日、前政権が打ち出した禁煙法を撤回すると発表した。公衆衛生の専門家や禁煙団体らからは非難の声が上がっている。

今回の方針転換は、クリストファー・ラクソン首相率いる国民党政権が掲げる政策の一環だ。英ロイター通信によると、政府はこの問題を巡る国民との対話や討論を求めることなく、法律の発効を阻止するという。

今年7月に施行される予定だった「禁煙環境および規制製品法」は、2009年1月1日以降に生まれた国民へのたばこの販売を全面的に禁止するもので、世界で最も厳しい禁煙法とも言われていた。

ケーシー・コステロ副保健相は記者会見で、保守連立政権は来年までに国民の喫煙率を5%未満にするという目標を掲げているが、前政権とは異なる方法を取る意向だと説明。だが、地元紙ニュージーランド・ヘラルドは、禁煙法の一部を維持するよう求める政府保健当局者の嘆願を、コステロ副保健相が拒否したと報じた。同副保健相が拒否したとされる提案には、たばこの購入可能年齢を18歳から25歳に引き上げるというものがあった。

同国の禁煙法は、ジャシンダ・アーダーン前首相率いる労働党政権の下で2022年12月に可決された。この野心的な法律には、たばこ製品を販売する店舗数を減らし、たばこ製品に含まれるニコチン濃度を下げ、2009年1月1日以降に生まれた国民へのたばこ製品の販売を全面的に禁止することなどが盛り込まれていた。2027年から毎年たばこ製品の購入可能年齢を引き上げることで、最終的な目標が達成されることになっていた。

ところが、昨年10月に行われた総選挙で勝利したラクソン首相率いる連立与党は、この法律が施行される前に廃止する方針を示していた。ラクソン政権は、同法を撤回すればたばこの販売から税収が入り、闇市場の創設も防ぐことができると主張。政府の試算によれば、同法を撤回することで、たばこ販売による年間約10億ニュージーランドドル(約910億円)の税収が保たれるという。現政権は、この法律によって死者数が激減し、国の医療制度が2040年までに約14億NZドル(約1300億円)節約することができるとの研究結果にも疑問を呈した。

今回の政府による禁煙法撤回の決定は、国内の保健関連団体から激しい批判を浴びている。首都ウェリントンに拠点を置く公衆衛生団体アオテアロアは、禁煙措置がたばこの闇取引を助長するという「ゾンビ論法」は誤りだと指摘。「善良な政府であれば、たばこの闇市場が拡大するかもしれないという脅威に対し、経験に基づいて支持されている禁煙措置を放棄しない」と訴えた。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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