欧州

2024.03.01 09:00

ウクライナ軍がSu-34爆撃機をさらに3機撃墜 ロシア空軍「崩壊」の瀬戸際に

ボーナートによれば、2022年2月のロシアによるウクライナ全面侵攻前に、ロシア空軍は戦術航空機(戦闘機や攻撃機、戦闘爆撃機)を900機ほど保有していた。その後、この論考発表までの1年半ほどの間にウクライナ側との戦いで84〜130機を失った。これらの損失自体もロシア空軍には問題だが、関連して別の問題も生じている。戦闘などでの損失で機体数が減っているにもかかわらず、出撃要請は減っていないのだ。

ロシア空軍は以前は900機で担当していた任務を残存の800機前後でこなすために、これらの航空機をより頻繁に飛行させざるを得なくなった。だが、そうすると機体の消耗は激しくなり、保守点検の必要が高まり、入手困難になってきている部品もますます求められるようになる。その結果、前線で使用することが事実上、不可能になる機体が出てくる。

「ロシア空軍は2022年2月以来、保有機に追加の使用時間を強いたために、実質的に27〜57機をさらに失ったと推定される」とボーナートは書いている。しかも、これは今年、ウクライナ東部アウジーウカの攻防戦が最終局面を迎えるなかでロシア軍機の出撃回数が急増したり、昨年12月以来ロシア軍機の損失が急増したりする前の話だ。

消耗で使えなくなったロシア軍機は、現在はもっと増えている可能性が高い。この分と最近の撃墜を含めると、ロシア空軍の飛行可能な戦闘機や攻撃機、戦闘爆撃機の数は700機程度まで減っている可能性がある。これは2年前より200機も少ない。

撃墜が続くなか、機体の消耗による事実上の損失がさらに膨らむのを避けるために、ロシア空軍は近く難しい選択を迫られるだろう。航空機の飛行回数を減らすか、それとも、現状と同じように飛ばし続け、即応態勢が急激に崩れていく危険を冒すか。

ボーナートの見立てが正しければ、ロシア軍によるウクライナでの航空作戦は持続不可能ということになる。ウクライナ側がロシア軍機を撃墜するたびに、それはますます持続不可能になっていくだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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