大きな期待を背負って開発が進められた国産ジェット旅客機MRJの計画中止のニュースには、日本中が肩を落とした。計画を断念した理由は、米連邦航空局(FAA)の型式証明が取得できなかったからだ。飛行機を作る技術はあるのに、型式証明を取る技術がなかった。そんな反省を踏まえ、空飛ぶ車の開発ベンチャーが、日本の航空産業全体を後押ししようと、型式証明の取得方法などを学ぶオープンセミナーを公開すると発表した。
2030年の提供開始を目指して6人乗りの中距離型VTOLを開発中のスカイリンクテクノロジーズは、「型式証明取得および航空産業発展のためのセミナー」を開始する。航空産業に携わっている、またこれから航空産業に参入したい企業や個人を対象に、自由に参加できるオープンセミナーだ。
スカイリンクテクノロジーズが開発中の6人乗りVTOLのイメージ。
同社はこれまで、アメリカの航空産業に従事する日本人と日系人の技術者が組織した、日本の航空産業を盛り上げるための団体「TJAD」(Team Japan for Aviation Development:ティージャッド)のメンバーで、FAAのコンサルタントDER(指定工学代理人)を務めていた芦沢元章氏を招いて社内で勉強回を開いていた。そこでは、FAAの型式証明の取り方や海外のサプライヤーへの対応などを学んでいたが、その豊富な知見を社内だけに留めておくのはもったいないと同社は考えた。
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現在は、TJADと共同で毎週金曜日にZOOMによる自由討論セミナーを開催しているが、いずれは参加者間で協力やコンサルテーションができる関係を構築して、日本の航空産業の活性化につなげたいとしている。
メンバーは、川崎重工、ロッキードなどを経て航空認証分野での調査や分析業務を行う江幡尚志氏、ボーイングで型式証明承認作業などを行う杉山剛氏、ブラジルの航空工科大学教授を経て航空構造部門のFAAコンサルトDERに認定された佐藤あつお氏、芦沢元章氏などとなっている。
自由討論セミナーの詳細はこちらプレスリリース