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2024.03.11

第3回 人的資本経営とは、結局何を目指せばいい?


 先日、久しぶりに「会社四季報」を手にとり、1ページ目からパラパラと見ていって気付いたことがあります。それはスパークス創業初期の1990年代には華々しく成長していたのに今は見る影もなく低迷している企業が少なくない、ということです。

 一方でユニクロやソフトバンクのように現在に至るまで成長を続け、当時の何十倍という規模になっている会社もある。

 この両者を分けるものは何なのか。そこに「人的資本経営」のヒントがあります。

「アリババ」創業者ジャック・マーの言葉


 中国最大のeコマース企業「アリババ」の創業者であるジャック・マーがある講演で面白いことを言っていました。

「市場が毎日変わり続けていく中で先を見通して戦略を考えても意味はない。アリババは創業時から〝いずれ脱落して消えていく弱小企業〟と言われてきた。確かに当時の技術力、資金力、ブランドのどれをとっても厳しい競争を勝ち抜けるほどのものはなかった。ただそのような分析で決定的に欠けていたのは、企業は人によって作られるという視点だ。当時、この視点をもたずにeコマース市場を独占していた競合他社は、企業で働く人の大切さを軽んじ続けた結果、今ではすべて消えてしまった」

 ジャック・マーの経営哲学においては、会社というチームにあっては、金のために闘うのではなく生きた経験を共有することが最も大事なのであって、人の生活をよくすることと共に自分たちの生活をよくすることを会社のビジョンとして掲げています。これは人的資本経営のひとつの在り方といえるでしょう。

 ちなみに「いいこと言っているから」と、この講演のDVDを私に送ってくれたのはユニクロの柳井正会長です。

「学校みたいな会社を作ろう」


 ジャック・マーは経営者になる前は教師でしたが、私がスパークスを立ち上げたときに考えたのもまさに「学校みたいな会社を作ろう」ということでした。

 当時、日本には投資のことを教える人はいなかったからです。幸い私はジョージ・ソロスさんやピーター・リンチさんといった伝説的な投資家に直接教えを受けていたし、ベンジャミン・グラハムさんやウォーレン・バフェットさんといった碩学が書いた投資の「教科書」もたくさん読んでいたので、その知識や経験を自ら〝教師〟役となって会社の仲間と共有しようと考えたわけです。この〝投資の教室〟が、今もわが社で続く「バフェット・クラブ」の原型といえます。

「人的資本経営」と言うと大仰に聞こえますが、要は経営者が社員と明確にビジョンと経験を共有して、ともに成長していくという姿勢に他なりません。

 わが社も創業以来、バブル崩壊だったり、リーマンショックだったり環境的に厳しい局面はいくつもありましたが、何とかそれを乗り越えてこられたのは、「スパークスのアセット(資産)は人」という変わらぬビジョンのおかげだったと思っています。

promoted by スパークス/text by Hidenori Ito/ illustration by Jun Takahashi

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