アイデアが浮かんだのはその時だった。「スマホで写真を編集しているすべての人に、このアプリを提供すべきだと思いました」とルイフはフォーブスに語る。
この経験がきっかけとなり、ルイフはGoProを退社し、AIを用いた写真編集ソフトウェアを提供するスタートアップのPhotoroom(フォトルーム)を立ち上げた。同社の3000万人のアクティブユーザーには、ケニアのジュエリーメーカーやフードデリバリーのDoorDash(ドアダッシュ)といった多様な業種が含まれている。ルイフによると2019年設立のPhotoroomのユーザーは累計50億枚以上の画像を加工しており、商品写真の背景を鮮やかにしたり解像度を向上させたり、テキストを画像に変換するAIで商品写真をゼロから生成したりしているという。彼は、2016年に自身が設立した別の会社をGoProに売却していた。
Photoroomは2月27日、シリーズBラウンドで4300万ドル(約65億円)を調達し、評価額が5億ドル(約750億円)に達したと発表した。このラウンドを主導したのは、ロンドンを拠点とするアーリーステージに特化したベンチャーキャピタルのBalderton Capitalと、LVMHのベルナール・アルノー会長が設立した投資会社Aglaé Venturesで、Yコンビネータも参加した。Photoroomの累計調達額は6400万ドルに達した。
パリに拠点を置く同社のアプリのダウンロード数は1億5000万件を超え、年間経常収益は5000万ドルを超えたとルイフは述べている。
Photoroomは、ネットフリックスやワーナー・ブラザースなどのエンタメ企業からも注目されており、『バービー』や『ブラックミラー』を含む映画やドラマのプロモーション画像の作成に同社のAPIが利用されている。昨年10月に同社は、ユニバーサル・ミュージック・グループ傘下のレコード会社、リパブリック・レコードと提携し、テイラー・スウィフトのアルバム『1989』の自撮りジェネレーターを作成した。