米超大型株「M7」の勢いに陰り、テスラ株は年初から20%下落


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昨年からの株価の上昇を牽引し存在感を高めてきた「マグニフィセント・セブン(M7、超大型7銘柄)」と呼ばれるハイテク大手のグループに亀裂が入りつつある。アップル、マイクロソフト、エヌビディア、テスラ、メタ、アルファベット、アマゾンの7社の株価パフォーマンスは一丸となって、2023年の市場全体を牽引してきたが、今年に入り差が生じている。

年初からのパフォーマンスは、アルファベットとアップル、テスラの3社がマイナスになった一方、エヌビディアとメタ、アマゾン、マイクロソフトの4社は市場全体を上回る上昇率を記録している。各銘柄の年初来のリターン(2月26日まで)は下記のとおりだ。

・エヌビディア:60%高
・メタ:36%高
・アマゾン:15%高
・マイクロソフト:9%高
・アルファベット:2%安
・アップル:6%安
・テスラ:20%安

年初来で20%も株価を下げたテスラには「M7に含めるのがふさわしいのか」という疑問の声も上がっており、同社の時価総額は最近、一時的に米国企業の時価総額ランキングの7位と8位に浮上したバークシャー・ハサウェイとイーライ・リリーの2社を下回っていた。

しかし、それでもなおM7の合計時価総額の13兆2000億ドル(約1985兆円)は、S&P500の総時価総額45兆ドルの29.2%を占めており、時価総額加重平均型の指数であるS&Pの結果を大きく歪めている。2022年末から現在までの、M7を除くS&Pの493銘柄のリターンの中央値は13%だった。これに対し、同期間の平均リターンが154%のM7がもたらしたS&P500全体のリターンは35%だった。

エヌビディアの時価総額は2024年の年初の2カ月で7540億ドル増加した。ファクトセットのデータによるとこの金額は、S&Pに含まれる最も小規模な企業72社の合計の時価総額を上回っている。

一部のアナリストは、M7企業のパフォーマンスを他のこのグループ内の企業と比較し始めている。メリアス・リサーチのアナリストのベン・ライツェスとニック・モンローは、アルファベット株の見通しについて注意を促す26日のメモで「M7の他の企業はアルファベットを凌駕している」と指摘した。

M7の企業らは、それぞれ異なるプロダクトを持っているが、巨額のバリュエーションと利益により、密接に関連している。これらの7社は、AIブームから利益を得る能力を楽観視されて株価を上昇させ、2022年の暴落から市場を引き上げるのに大きく貢献し、S&Pやナスダック、ダウをそれぞれの史上最高値まで急騰させた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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