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2024.03.02 14:15

アート×テクノロジー×非営利団体 NY在住キュレーターが導く日本のポテンシャル

Leonard Zhukovsky / Shutterstock.com

さて、ここまでアート&テクノロジーの領域での非営利団体を使った斯波氏の活動を追ってきたが、やはり聴きたくなるのは日米のギャップ。特に彼女が見えているアート業界を中心にした日米ギャップとはどのようなものなのか?
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斯波:「大学に入ってから20年ほどNYにいたので、2019年にACC日本財団のヘッドとして日本に一年間滞在したのが社会人になってから初めて住んだ日本だったのですが、アート業界や非営利団体のあり方に日米のギャップを感じました。

まずは日本の閉塞感。決まったこと以外をやらないことに驚きました。美術館そのもののファンドのあり方が違うこともありますが、アメリカだと運営が全て寄付で成り立っているので通常各団体に資金調達担当の人がいますが、日本は国家予算の中で収めていく進め方。仕組みが全然違います。また、日本の学芸員(キュレーター)が専門外の仕事が多すぎて自分の研究する時間がないことも大きな違いです。アメリカだとキュレーターが自分の専門スキルを磨くために研究を続けたりサバティカルに行くことは推奨されますが、日本だと一度大学院など長期間外に出てしまうと戻る場所がないというのも驚きました。

パブリックアートに関する考え方も大きく違います。NY市では、新しい公共建物を作る際には建築費の数パーセントをパブリックアートに使う義務があったり、公共建築でなくてもパブリックアートがあるとゾーニングが有利になる等の利点があります。なので、街を歩いていると、ドンっと大きいアレクサンダー・カルダーなどの作品に出会うことができます。アートは目印になりますし、毎日アートに触れながら出勤することにより働く人のやる気にも繋がっていきます。
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非営利団体の日米の差は、寄付金の税金対策の違いです。アメリカでは、美術館や非営利団体を支援することが税控除に繋がる。 だから、美術館に企業や個人の寄付が多く集まるのです。どうせ国に取られる税金になるのであれば、美術館に寄付をする、という選択ができるのです。

また、NPOコミュニティの層の厚さも違います。小さい頃から美術館を支援している親を見ている子供は、自分も大きくなった時に支援活動を自然に行うようになります。

日本人は寄付をする、サポートするのを公表するのを躊躇う奥ゆかしさがあるので、表に出てきてないだけで様々な寄付等はなされていると思うのですが、一年間日本に滞在しているときに感じたギャップはこれらを含めいくつかありました。」
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