外部の専門家で構成されたFAAの委員会は、26日の報告書で、ボーイングの安全管理システムの手順が「不十分で混乱した状態」になっており「全従業員が自分の役割を確実に理解できるような構造になっていない」と指摘した。
同委員会は、ボーイング社内の安全関連の指標に対する認識が「すべての階層で不十分だ」とし「従業員はさまざまな測定方法の違いや目的、結果を区別することが困難であった」と指摘した。さらに、同社の報告システムが、オープンなコミュニケーションを確保するために最適な構造になっていないことも明らかにした。
FAAは声明で「ただちにこの報告書を徹底的にレビューし、次のステップを決定する」と述べ「最高水準の安全性をボーイングに求め続ける」と付け加えた。
ボーイングの広報担当者であるコナー・グリーンウッドはフォーブスに宛てた声明で、同社が委員会の報告書を支持すると述べ「当社は、全従業員に権限を与え、懸念を共有することを奨励する安全文化を醸成するための措置をとっているが、やるべきことはまだある」と述べた。
ボーイングの旅客機737MAX8は、2018年10月にインドネシアで、19年3月にはエチオピアで墜落事故を起こし、計346人が死亡した。この事故の原因は、いずれも機体の姿勢を制御するシステムの誤作動とみられており、FAAは専門家を招いた委員会に、ボーイングの安全管理プロセスについての調査を委託していた。
直近では1月に、ボーイングはアラスカ航空の737MAX9が離陸直後に客室中央部のドアプラグが吹き飛ぶ事故を起こしたことでも非難を浴びているが、今回の調査はその以前に委託されたもので、特定の事故の調査を任務としていないため、この件の調査は行っていない。
しかし、1月の事故を受けて現在は数百機のMAX9の運航が停止されており、国家運輸安全委員会(NTSB)は調査の結果、アラスカ航空の事故機にはボルトが欠けていた可能性があることを指摘していた。ボーイングのデーブ・カルフーンCEOはこの指摘を受けて「このような出来事は、我々の工場から出荷される飛行機に起こってはならない」と述べていた。
FAAの26日の報告書の調査対象に1月の事故は含まれていないが、委員会は、アラスカ航空の事故がボーイングの安全性についての懸念を「増幅させた」と述べている。ボーイングは先に737MAXのプログラム責任者のエド・クラークが即時退任すると発表していた。
(forbes.com 原文)