山中:でしょうね。いま思い出したけれど、アウン・サン・スー・チーさんが2013年、京都大学で講演をされたんです。そこである女子学生が質問をした。「何十年も軟禁されて、どうしてそんなにpatient(忍耐強い)だったのですか」と。すると、彼女は「私はpatientではありません。私はbrave(勇敢)なのです」と答えた。
小山:こちらもすごくいい話です。
山中:カリコさんもたぶんbraveな方なのでしょう。そういう人が社会を変えるんですね、きっと。(後編に続く)
今月の一皿
ゲストの山中氏がリクエストした「青椒肉絲」。大学のラグビー部でへとへとになって帰るとつくってくれた“母の味”。
blank
都内某所、50人限定の会員制ビストロ「blank」。筆者にとっては「緩いジェントルマンズクラブ」のような、気が置けない仲間と集まる秘密基地。
山中伸弥◎1962年、大阪府生まれ。医学博士、京都大学iPS細胞研究所名誉所長・教授。2006年にマウスの皮膚細胞から、07年にヒトの皮膚細胞からiPS細胞の作製に成功したことを発表。12年にノーベル生理学・医学賞、文化勲章を受ける。
小山薫堂◎1964年、熊本県生まれ。京都芸術大学副学長。放送作家・脚本家として『世界遺産』『料理の鉄人』『おくりびと』などを手がける。熊本県や京都市など地方創生の企画にも携わり、2025年大阪・関西万博ではテーマ事業プロデューサーを務める。