陰謀論はこの空間に足場を見つける。現実が疑念と推測で描かれる魅惑的な世界だ。影で糸を引く強大な組織のうわさから、秘密のベールに包まれた歴史的事件まで、陰謀論は人間の想像力の暗い奥底を垣間見せてくれる。
最も一般的に信じられている陰謀論
学術誌Personality and Individual Differences(性格と個人差)に今年発表された研究結果によれば、陰謀論は世界の出来事を根拠のない説明で解釈し、多くの場合、悪人や悪の組織が原因だと主張する。この論文では、最もよく信じられている陰謀論は6種類あるとしている。1. 政府の不正
政府が軍事介入を正当化したり、監視権限を拡大したり、他の問題から国民の目をそらしたりする目的で、テロ攻撃の画策や自然災害を人工的に引き起こすなどの秘密活動を行っていると主張するもの。政府の公式発表の矛盾や過去の不正行為の事例が、より大きな陰謀の証拠とされがちだ。9.11米同時多発テロへの米政府の関与や共謀を示唆する諸説は、この一例である。
2. 悪意あるグローバルな操作
イルミナティなどの秘密結社や世界的に活躍するエリートらによる強力な「影の組織」が、新世界秩序の確立や富と権力の強化など、独自の意図をもって世界の出来事をコントロールしていると主張するもの。隠された意図の証拠として、特定のシンボルや、影響力のある人物同士の結びつきの示唆、歴史的事件の類型などが挙げられることが多い。
3. 個人のウェルビーイング(心身の健康と幸福)のコントロール
企業や政府がマイクロチップや電磁波などの技術を用いて人々を操作したり害したりしていると主張するもの。この陰謀論を信じる人は、陰謀をめぐらす存在が一般人の行動をコントロールし、動きを追跡し、さらには思考や感情を変えさせようとしているのではないかと懸念している。
4. 地球外生命体の隠蔽
政府や軍事組織が地球外生命体の存在についての真実を敢えて隠しているとするもの。UFOの目撃談やエイリアンとの遭遇の事実が公式には否定されたり抑圧されたりしていると主張する。信奉者は、地球外生命体の存在を公表すれば、社会や権力バランスに深刻な影響を与えるからだと訴えている。
5. 情報のコントロール
政府、メディア、学術機関などさまざまな組織が、情報を操作して公衆の認識を形成し、反対意見を抑圧し、特定の議題を推進させていると示唆するもの。この陰謀論を信奉する人は、公式発表を疑い、主流メディアの信頼性に疑義を表明し、「汚染されていない」情報を求めて代替メディアチャンネルを探す。
6. 新型コロナウィルス感染症(Covid-19)
これには、Covid-19パンデミックの起源、深刻さ、対応に関する虚偽ないし誤解を招くさまざまな主張が含まれる。ウイルスが意図的に作成されたとする説など、Covid-19は生物兵器だとか、政治的・経済的利益のために行われた詐欺だとの主張が展開される。Covid-19ワクチンは人口をコントロールしたり減らしたりする大きな計画の一部だと示唆する信奉者も多い。