この軽量モデルは、OpenAIのChatGPTと競合するグーグルの言語モデルのGemini(ジェミニ)を構築するために使用された研究と技術に基づいている。しかし、Gemmaには小型版のGemma 2Bと大型版の7Bの2つのサイズが用意され、開発者のノートパソコンやデスクトップパソコンで直接実行できる軽量さがアピールされている。フェイスブックの親会社であるメタのLLaMA 2モデルも、開発者や研究者がこのモデルの上で直接開発を行うことを想定している。
オープンソースのAIモデルであるGemmaのデビューは、これまでクローズドな姿勢をとってきたグーグルとしては異例のことだ。メタやHugging Face(ハギングフェイス)、Mistral(ミストラル)のようなオープンソースを提唱する企業は、企業がモデルのソースコードを公開し、広く利用できるようにしてきた。一方、グーグルに加えてOpenAIなどは、その名前とは裏腹に厳しく管理されたクローズドな環境をとることで、安全上のリスクを軽減し、悪用をより容易に防ぐことができると主張してきた。
ただし、グーグルはGemmaを完全なオープンソースとして公開するのではなく「オープンモデル」と呼んでいる。「これは、モデルのウェイトや事前に訓練されたパラメータは利用できるが、実際のソースコードや訓練データは利用できないことを意味する」とグーグルの広報担当者のジェーン・パークは説明した。
グーグルは、Gemmaモデルが「規模の大小にかかわらず、すべての組織で責任ある商用利用と配布が可能 になる」と述べた。これは、例えばOpenAIがこのモデルの亜種を作り、それを公開できるということか? と筆者が尋ねたところ、グーグルのパークは「同じ条件が適用されるだろう」と回答した。
グーグルが先日公開したGeminiの最新バージョンのGemini 1.5は、開発者とグーグルのGoogle Cloudの顧客のみが利用できるもので、一般には公開されていないが、Gemmaのアプローチは異なるものだ。グーグルのこれまでの閉鎖的なアプローチは、メタを筆頭とするいくつかのオープンソースの支持者から怒りを買っていた。
オープンソースを提唱するメタとの軋轢
メタのチーフ・サイエンティストのヤン・ルカンは、11月のフォーブスの取材に対し「グーグルは、ますます閉鎖的になりつつある。彼らの姿勢はAI分野の進化を遅らせることにつながる」と述べていた。グーグルのDeepMindを率いるデミス・ハサビスは、過去にルカンに反発したことがあり、ルカンがAI規制の強化を求める彼に「恐怖を煽っている」とのレッテルを貼ったと非難した。ハサビスはまた、AIのリスクを管理するためには、閉鎖的なアプローチが適切だと主張している。
グーグルは、Gemmaの発表に合わせ、このモデルを使った安全なAI開発のツールやガイドをAPIとともに公開した。
(forbes.com 原文)