連邦参議院(上院)が同法案を来月承認すれば、4月1日から施行される。本法律は、学校やスポーツ競技場を含む一部の例外を除き、公共の場での大麻の吸引を合法化し、18歳以上であれば公共の場では25グラムまで、私的な場では50グラムまでの大麻の所持を認めるもの。18歳未満の未成年者の大麻消費は依然として違法とされ、18~21歳に関しては30グラム以内の購入に制限される。会員制の「大麻社交クラブ」での販売も許可されるが、クラブの敷地内や敷地から200メートル以内では大麻を消費することができない。大麻社交クラブの会員数は500人までに制限され、各種教育施設や保育所から200メートル以内に施設を設置することも禁止される。3株以内であれば、成人は自宅で大麻を栽培することも許される。
米AP通信によると、ドイツのカール・ラウターバッハ保健相は2022年10月、30グラム以内の大麻所持を合法化する計画を発表したが、欧州連合(EU)からの反対を受け、翌年4月に計画を縮小。英ロイター通信は、ラウターバッハ保健相が「現行の法律では子どもや若者を完全に保護することはできない」として、大麻の合法化を支持していたと伝えた。
ドイツ政府は本法律の下、特定の地域で5年間、商業サプライチェーン(供給網)の規制について試験する方針だ。2021年にEUで初めて大麻を合法化したのはマルタだが、ドイツは大麻使用を合法化する欧州最大の国になる見通し。他の近隣諸国も近年、同様の法律を検討している。オランダが少量の大麻の販売と消費を認めているほか、スイスは昨年、北西部バーゼルで合法的な大麻の販売を試験することを明らかにした。ドイツの発表に続き、隣国チェコも成人の大麻使用の合法化に向け準備している。
ドイツでは数年間にわたって大麻の合法化を巡る議論が行われてきたが、議会内では反対の声も根強い。英BBCによると、今回の法案についてドイツの保守政党キリスト教民主同盟(CDU)のシモーネ・ボルシャルト議員は「まったく不必要で混乱した法律」だと非難。英紙ガーディアンは、CDUのティノ・ゾルゲ議員が「(若者が)見習いや仕事を始める代わりに大麻を吸ってもいいという提案」は「私たちの社会に間違った合図」を送るものだと指摘したと報じた。また米紙ニューヨーク・タイムズによれば、同じくCDU所属でドイツ東部ザクセン州のアルミン・シュスター内相は独ニュースサイトRNDに対し、本法律によって統制が完全に失われると警告した。他の反対派も、本法律を施行するのは難しいと主張している。
(forbes.com 原文)