アジア

2024.02.27 11:30

中国の人口減少に歯止めかからず 出産促す習近平の説得も空回り

中国の首都北京に掲げられた「一人っ子政策」を促す看板。1983年撮影(Getty Images)

社会学では、経済力や教育水準の向上、社会における女性の役割の変化が少子化を助長していると考える傾向がある。女性の機会が拡大するにつれて、母親としての役割に加え、あるいはそれに代わる職業やアイデンティティーを選ぶこともできるようになった。他の国々はこの現実を受け入れ、出産を促す動機を与えようとしている。ところが中国政府の対応は、単に出生数を増やせと国民を説き伏せることに終始している。習首席のやり方は、女性に何をすべきかを指示することだ。しかし「指導を強化する」ことは、女性の力を奪うことになる。
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私の直感では、人間に対して変われというだけで人間の本質を変えようとしても、限定的な影響しか与えられない。例えば、職場の時間厳守のようなそれほど繊細でない事柄であっても、時間厳守の義務について社員を説き伏せるより、時間を守った場合に褒美を与えたり、遅刻をした場合に不利になる条件を与えたりする方がはるかに効果的だ。結局、何も変えることなく、国家首席がただ演説するだけでは目標を達成することは難しいだろう。

中国にとってさらに問題なのは、その独裁的な体制から、政府内の誰も、習首席が間違っていると指摘することすらできないことだ。間違っていようがいなかろうがとにかく国家主席に拍手を送らなくてはならない。

これでは間違った舵取りが悪循環に陥る可能性が高い。例えば、昨年の人口統計は減少を示したが、中国政府は社会がまだ完全に新型コロナウイルスから回復していないためだと説明した。今年の人口統計も減少となるだろうが、政府は出産の奨励を始めたばかりで、この結果が現れるまでには時間がかかると答えるだろう。中国が間違った方向に進んでいるという意識が芽生えるのは、早くても来年の人口統計で衰退が表面化してからになるものと思われる。
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こうした背景の中で、中国政府は女性に対する説得を一層強めるだろう。全国女性代表大会の声明にはそれほど注目が集まらない一方で、共産党幹部や政府高官は皆、国家主席の言葉には真剣に耳を傾けるはずだ。政治家が女性に子どもを産めと説得することで習首席に対する忠誠を示せば、この種の説教が増えることになる。女性がこうした説得を嫌がっている以上、少子化に歯止めはかからないだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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