ボビの年齢を巡っては、獣医師や専門家から疑問の声が上がっていた。これを受け、ギネス・ワールド・レコーズは記録の見直しを行い、ボビの生年月日を証明する「決定的な証拠はない」と結論付けた。同団体によると、マイクロチップのデータを保存しているポルトガル政府のデータベースでは、2008年以前に生まれた犬に関しては、年齢証明を求めていなかった。
ギネス・ワールド・レコーズのマーク・マッキンリー審査員は、年齢を確認する上で、同団体は写真や動画を考慮に入れつつ、2人以上の目撃者や専門家からの証言を求めていると説明した。今回の記録取り消しについて、ボビの飼い主にはすでに通知しているという。
マッキンリー審査員は「新たな証拠があれば、どんなものであっても喜んで調査する」と説明。今後の記録認定に際しては、ペットの生涯のすべての年齢を証明する証拠を要求するとしている。
ボビの飼い主だったレオネル・コスタは米AP通信の取材に対し、ギネス世界記録がボビの年齢を確認するのに1年もの歳月を費やしたことを挙げ、ボビの記録は正しいと主張。ギネス認定から金銭は得ておらず、認定当時、疑惑があるとは伝えられなかったと訴えた。
英王立獣医師協会のダニー・チェンバーズ諮問委員は、ボビの死後間もなく、英紙ガーディアンに「私の獣医師仲間で、ボビが本当に31歳だったと信じている者は1人もいない」と言明。10代後半まで生きた犬を見たことはあるが、ボビとは違って小型犬種で、太りすぎてもいなかったため、ボビが「平均寿命の3倍近く」長生きしたという話は驚きだったと証言した。ボビはラフェイロ・ド・アレンテージョの純血種。米ケンネルクラブによると、同犬種の平均寿命は12~14歳だ。
ギネス・ワールド・レコーズは当初、ボビが死んだ際の年齢は31歳と165日だったと発表していた。同団体は、ボビの年齢はポルトガル政府が認定し、同国の全国獣医師組合が管理するペットデータベースによって確認できたとしていた。
「極めて社交的な」犬と評されたボビは、ポルトガルの首都リスボンから北約8.6kmにあるコンキエロスという田舎町でコスタ家と暮らしていた。ボビがきょうだい犬とともに生まれた時、飼い主のコスタ家はすでに多数のペットを飼っていたため、穴に埋めて処分することにした。だが処分の日、ボビは逃げ出し、死を免れた。後に一家の息子2人がボビを見つけ、家族の一員となった。
(forbes.com 原文)