マーズ・デューン・アルファには、それぞれのクルー用の個室、ワークスペース、医務室、共用ラウンジ、ジム、バスルーム(当然のことだが)、ギャレーキッチン(列車や船舶などにある細長いキッチン)、食料栽培ステーションがある。居住エリアとワークスペースは、分離された構造になっている。
未来学者たちは、火星ににぎやかなコミュニティができる日を思い描いているが、火星の分譲マンションを買おうと考え始めるのはまだ時期尚早だ。NASAは2回目のCHAPEAミッションに向けて、30~55歳の非喫煙者で、米国民または永住権保持者であり「クルーやミッションコントロールとの効果的なコミュニケーションができるくらい英語が堪能な人」を求めている。応募締め切りは4月2日(米国時間)だ。
ただし、選抜メンバーとしてCHAPEAプログラムに参加するには、冒険心にあふれ、狭い空間に耐えられる精神力を持っているというだけでは足りない。NASAはクルーに求める条件として、認定された教育機関で工学、数学、生物学、物理学、コンピュータ科学などSTEM分野の修士号を取得し、少なくとも2年間のSTEM分野の専門職経験、または最低1000時間の航空機操縦経験を挙げている。
NASAによると、STEM分野における博士課程の2年間を修了した者、医学の学位を取得した者、テストパイロット課程を修了した者が候補者となる。また、軍の士官訓練を修了した者、または、STEM分野の理学士号を取得し、4年間の職業経験を有する者も、対象として検討される可能性がある。
2023年6月25日に始まった第1回目のCHAPEAミッションの参加者として、現在、模擬火星で生活しているクルーには研究科学者のケリー・ハストン、構造エンジニアのロス・ブロックウェル、米海軍の微生物学者アンカ・セラリウ、救急救命医のネイサン・ジョーンズ博士がいる。
第1回目のミッションが始まって数カ月経った頃、参加クルーたちは、NASAのポッドキャストで「火星での生活」について語り、そのハイライトや成果、驚き、障害を共有してくれた。ハストンは、全体的には非常にうまくいっていると語りながら「家族とのコミュニケーションは依然として難しい」と述べた。
「私たちは、電子メールでしかコミュニケーションがとれないし、地球に送って返事が戻って来るまでに時間がかかる」
(forbes.com 原文)