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2024.02.22

スマートウォッチでの「非侵襲的」な血糖値測定に米FDAが警告

Tada Images / Shutterstock.com

米国食品医薬品局(FDA)は、血糖値の測定にスマートウォッチやスマートリングを使用しないよう消費者に警告した。アップルが糖尿病患者の血糖値を指に針を刺すことなく測定する技術を開発していると報じられている中のことだ。

FDAは2月21日、消費者、患者、医療従事者および介護者に対して、皮膚穿刺によらない「非侵襲的」方法で血糖値を測定するスマートウォッチやスマートリングを同局が承認していないことを明言した。

非侵襲的な技術での血糖値を測定は「糖尿病管理のエラーを引き起こす可能性がある」とFDAは警告し、不正確な測定は、不正確なインスリン投与や血糖値を急激に降下させる薬品の摂取につながり、「エラーから数時間以内」に昏睡、精神錯乱、さらには死の危険を高める恐れがあることを付け加えた。

FDAは警告対象であるデバイスについて、通常オンラインで販売されているものであり、外部の血糖値モニタリング機器のデータを表示するだけのスマートウォッチとは異なるものだと話している。

今回の警告は、アップルが同社のスマートウォッチ用に非侵襲的な血糖値の測定技術を開発しようとしているという報道の中で発表された。アップルがFDAの承認を得ようとしているかどうかは不明だが、ブルームバーグによると、同技術の初期バージョンは、血糖値レベルの傾向が間違った方向に変化しているかどうかをユーザーに知らせるだけで、正確な測定値を調べるものではないという。

米国人のおよそ10人に1人、3730万人が糖尿病にかかっていると米国疾病管理予防センター(CDC)は発表している。その中には1型、2型および妊娠糖尿病が含まれているが、約5人に1人は自身の糖尿病に気づいていない。さらに米国人の約9600万人が前糖尿病患者であり、その大部分が前糖尿病であることに気づいていないとCDCはいう。これらの数値は近年著しく増加しており、高齢化と肥満の問題が、米国成人における過去20年間の症例数の倍増につながっている。

糖尿病で米国人が1年間に失う医療費と労働損失を合わせた金額は4130億ドル(約62兆円)となっている。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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