経済

2024.02.21

ウォルマート、米スマートテレビ企業を買収 広告事業でアマゾン追撃を加速

photosince/Shutterstock.com

米小売り大手ウォルマートは20日、スマートテレビメーカーの米ビジオを23億ドル(約3450億円)で買収することで合意したと発表した。これによりメディア・広告事業のウォルマート・コネクトの成長を「いっそう加速させ」、広告分野で先行するアマゾン追撃を狙う。

ビジオ取締役会が全会一致で承認した買収案は、1株あたり11.50ドル(約1720円)、企業価値23億ドル相当を現金で支払う内容。

ウォルマートUSのエグゼクティブバイスプレジデント兼最高収益責任者のセス・ダレールは報道発表の中で「小売とエンターテインメントの交差点を再定義する」買収だと述べた。

ビジオのウィリアム・ワン最高経営責任者(CEO)は、この買収によりウォルマート・コネクトはテレビ広告プラットフォームを獲得して広告プレゼンスを拡大し、ビジオ株主にも価値をもたらすだろうと語っている。

ウォルマート・コネクトは広告主やブランドに、売上データを利用してマーケティング戦略を策定する「クローズドループシステム」を通じて、オンラインと店舗での広告掲出機会を提供する。

CNBCによると、20日の米株式市場ではビジオの株価が15%高となった。

ウォルマートの報道発表によると、ビジオと同社が提供するSmartCastシステムのアクティブ顧客数は1800万人で、2018年比で400%成長している。

ウォルマートは先月、今後5年間で150店舗を開店し、今後1年以内に米47州で650店舗を改装する計画を発表した。新店舗はまずフロリダ州サンタローザビーチとジョージア州アトランタにこの春オープンする予定。

同社は2019年以降、広告分野でさまざまな取り組みを展開し、アマゾンや他の大手小売り業者と競合している。2019年にウォルマート・メディア・グループ(現ウォルマート・コネクト)がシリコンバレーを拠点とする広告スタートアップPolymorph Labs(ポリモーフ・ラボ)を買収。広告分野でのプレゼンス拡大を図り、21年にウォルマート・コネクトに名称変更した。

一方、2002年設立のビジオは、米紙ウォールストリート・ジャーナルによるとウォルマートが販売するテレビブランドとしては売上高ベースで最大手。2019年にダイレクト広告プラットフォームVizio Adsを立ち上げて広告分野に進出し、ホームスクリーンやストリーミング・チャンネルに広告を掲載している。2020年には1億4700万ドル(約220億円)の広告収益を上げた。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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