地元メディアによれば、外国からの不動産投資の増加はギリシャの歳入を大幅に強化しており、ゴールデンビザ導入後の貢献額はすでに20億ユーロ(約3200億円)を超えたという。
EUの圧力にもかかわらず
ギリシャは、欧州委員会から廃止勧告が出ているにもかかわらずゴールデンビザ制度を維持している。欧州委は、裕福な外国人が居住権を「購入」でき、場合によっては実際にその国に居住する必要すらないというのは「非民主的」だと言明。「EUの規範とは相容れないマネーロンダリング(資金洗浄)、脱税、テロ資金調達、汚職、組織犯罪の浸透を許し、安全保障上のリスクとなる」と断言している。
欧州委の見解は、加盟国と直接関係がない人物に投資や金銭と引き換えにEU市民権を与えるのはEU法違反だというものだ。「投資家市民権制度はEU市民権の本質を損ない、EU全体に影響を及ぼす」と指摘している。
また「ウクライナでの戦争を大々的に支持し、制裁の対象となっているロシアやベラルーシの国民」がこうした制度を通じてEU市民権を取得し、シェンゲン圏内を自由に行き来するなどの特権を獲得している点にも苦言。「制度に特有のリスク」を理由に、加盟国に「既存の投資家向け市民権制度と投居住制度すべてをただちに廃止すること」を求めている。
国際NGOトランスペアレンシー・インターナショナル(TI)も、ゴールデンビザ制度が「EUの市民権と居住権を、潤沢な資金さえあれば誰でも買える贅沢品に変質させてしまった」として廃止を呼び掛けている。
TIはゴールデンビザについて「犯罪者や汚職者にとりわけ魅力的な制度で、悪用されていることが数々のスキャンダルで判明している」「純粋な投資や移住のためではなく、腐敗した利権のための制度だ」と批判。適切な監査に基づいて制度を規制し、発給済みのゴールデンパスポートやゴールデンビザも見直すよう各国政府に勧告するとともに、欧州委の監督下で「そもそも付与すべきでなかった人物から市民権や居住権を剥奪するプロセス」が必要だと訴えている。
(forbes.com 原文)