AI

2024.02.26 10:30

オープンソースのAIソフト開発ツールLangChain、セコイア主導で38億円調達

セコイアは昨年3月に出資を決断

セコイアのパートナーであるSonya Huang(ソンヤ・ホアン)は、シードラウンドでもLangChainへの参加を検討したが、昨年3月にセコイアが主催したAIカンファレンスにチェイスが参加した直後に出資を決断したという。ホアンは、チェイスが講演を聞きながらノートパソコンを使って本番環境へのデプロイをしていたことに感心したという。

現在、オープンソースプロジェクトとしてのLangChainは、GitHubで2000人の貢献者を抱えており、5万社以上が同社のコードを利用している。現状は、主にOpenAIの標準SDK(ソフトウェア開発キット)に接続している。セコイアのホアンによると、初期段階でのツールの月間ダウンロード数は合計700万回と、OpenAIのSDKとほぼ同水準だったという。

チェイスによると、彼は会社を設立して1年ほどでLangSmithに取り組み始めたという。適切なスキルを有してさえいれば、誰でもLangChainを使ってGPT-4のようなモデルをアプリに組み込むことができるが、モデルやより多くのコンテキストを注入できるベクターデータベースのようなツールがブラックボックス化している場合は、あまり役に立たない。LangChainは、約700ものそのようなプログラムに接続しており、単一のAPIまでトレースでき、それらがフィットするか否かを容易に確認することができる。チェイスによると、LangChainはこれまでに1億2000万件のトレースを処理したという。

顧客企業は、LangSmithを利用するためにLangChainのオープンソースソフトウェアを使う必要はないものの、LangSmithはエンタープライズグレード版としても機能するという。チェイスと18名のスタッフは、ユーザーの利便性を高め、よりアクセスしやすくするために、どのような順序で製品が開発するか検討中だ。「現状、この領域は非常に複雑になっている」と彼はいう。

チェイスは、LangSmithが一般公開される前の成果として、Elasticの事例を挙げる。同社は先月、LangSmithを利用してプレミアムAIアシスタント製品を構築した。LangChainは、ElasticがOpenAIのモデル以外にも、同社が望むモデルを使えるようにすると同時に、特定の機能向けに最適なモデルを選択することを支援した。

しかし、変化の激しい市場において、創業1年のスタートアップを長期的な勝者であると考えるのは時期尚早だろう。「今後、競争環境がどうなるかわからない。直接、間接を含め、競合と言える企業は常時200社ほどある」とチェイスは話す。

AIエコシステムは若く、爆発的に成長していることも楽しみの1つだと彼は話す。1年間の試験期間を経た今、彼は2024年にはより多くの企業がAIアプリやエージェントを提供することを期待している。「我々は誰に対しても親切で透明であり、価値を提供したい。それができれば、うまくいくだろう」と彼は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事