経営・戦略

2024.02.25 08:00

航空大手ボーイングが直面する「熟練工の消滅」とトラブル頻発の関係

737MAXの組立ラインでは、熟練工の経験がさらに重要になるかもしれない。1960年代にデビューした737の最新版である737MAXを担当する作業員は、787型機やエアバス機のような近代的な旅客機の製造に使用されるロボットなどの自動化ツールに頼れない。ボーイングを退社後にFoundation for Aviation Safety(航空安全財団)という団体を運営するピアソンは、「737MAXは基本的に手作りだ」と語った。

さらに、スピリット社やボーイングの組立整備士は、自動車産業よりもはるかに反復性が低く、標準化もされていない方法で、作業を行うという困難に直面している、とコリアーは語る。「一日中ドリルで穴をあけたり埋めたりしていても、すべて同じ穴ではありません。角度が違ったり、材質が違ったりするのです」と彼は続けた。

連邦航空局(FAA)のマイク・ウィテカー長官は先日の議会の公聴会で、監視の強化を約束し、ボーイングにはより多くの人員が必要だとの見解を示した。FAAは737MAXの工場に20人、スピリット社に6人の検査官を派遣し、両社の製造工程を監査している。また、ボーイングに対し、同局が許可するまでの間、MAXの増産を禁じている。

しかし、FAAがボーイングとサプライヤーに品質検査官の増員を求めたとしても、問題はすぐには解決しないとコリアーは述べている。

アマゾンとの人材獲得競争

ボーイングはかつてシアトル地域の主要な雇用主だったが、現在は宇宙関連企業やハイテク企業との熟練労働力の争奪戦に直面しており、特にアマゾンと優秀なソフトウェア・エンジニアの獲得を巡り競っている。調査会社レベリオ・ラボによると、過去3年間で、ボーイングを退社したエンジニアの3.5%がアマゾンに、3.1%がブルーオリジンに転職しており、それぞれ2位と3位の転職先となっている。1位はノースロップ・グラマンで、ボーイングを辞めたエンジニアの4.8%が同社に入社している。

ボーイングは2014年に労働者の賃金を抑制し、年金制度を廃止した。その結果、同社の労働市場での競争力は低下したと専門家は述べている。ボーイングの初任給は時給16ドルから26ドルだが、シアトルのDoordash(ドアダッシュ)やInstacart(インスタカート)などのフードデリバリーの配達員の賃金は現在、時給26ドルからとなっている。

ボーイングのデビッド・カルフーンCEOは、顧客とFAAの信頼を回復するために必要なことを行うと繰り返し述べている。「このような監視の強化は、それが当社によるものであれ、規制当局によるものであれ、第三者によるものであれ、当社をより良くするためのものです」と、1月31日の第4四半期決算説明会で彼は述べていた。

それは事実に違いない、とコリアーは言う。しかし、同社と規制当局が生産プロセスを徹底的に検討し、変更を加えるには時間がかかる。「彼らが本当にそれをやり遂げれば、事態はずっと改善するでしょう。しかし、そのためには、おそらく2、3年が必要になるはずです」と彼は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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