米国最大のクレジットカード会社誕生を発表、5.3兆円の買収合意で

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米国の銀行キャピタル・ワンは2月19日、クレジットカードの発行や決済サービスを手がけるディスカバー・ファイナンシャルを買収することで合意したと発表した。これにより、クレジットカード最大手の2社が合併し、融資額で米国最大のクレジットカード会社が誕生することになる。

ブルームバーグは、キャピタル・ワンによる買収の動きを先に伝えていたが、ウォール・ストリート・ジャーナルは、関係筋の話として、早ければ19日にも買収が発表される可能性があると報じていた。

キャピタル・ワンは、この買収を全額株式による取引で実施し、ディスカバーを350億ドル(約5兆3000億円)と評価している。

キャピタル・ワンはクレジットカードを発行する銀行で、現在はビザやマスターカードと提携している。一方、ディスカバーはクレジットカードの「ディスカバー」の発行に加えて、自社の決済ネットワークを運営しており、カードのトランザクション処理でビザと競合している。

この買収は、バージニア州を拠点とするキャピタル・ワンにとって史上最大のものになるとブルームバーグは報じている。キャピタル・ワンとディスカバーは、フォーブスのコメント要請に即座に応じなかった。

キャピタル・ワンの時価総額は約522億ドルで、ディスカバーの時価総額は約276億ドルとされている。

ロイターは、この買収が2009年にバンク・オブ・アメリカがメリルリンチを500億ドルで買収して以降の米国の銀行セクターで最大の買収となると述べている。

連邦準備制度理事会(FRB)によると米国第9位の銀行であるキャピタル・ワンの資産合計は4750億ドルで、全米で約280支店を運営している。昨年3月にシリコンバレー銀行が破綻した後、同行の株価は下落したが、その後は回復している。

ディスカバーは、自社のカードを発行して決済システムを運営しているためキャピタル・ワンは、この買収によってリーチを拡大できる。一方、ニュースサイトAxiosは、キャピタル・ワンとディスカバーの両社が、金融業者にとってリスクの高い顧客を抱えていることで知られていると指摘していた。米連邦預金保険公社(FDIC)は昨年9月、ディスカバーに対し、消費者のコンプライアンスを強化するよう命じていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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