欧州

2024.02.20 13:00

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻、間もなく2年

生活基盤にも壊滅的な打撃が及んでいる。今月発表された国連の最新の調査では、戦争で荒廃したウクライナの再建と復興には、向こう10年で約4860億ドル(約72兆9000億円)かかることが明らかになった。1年前には約4110億ドル(約61兆6500億円)と見積もられていた。

ウクライナ政府は、世界銀行、欧州委員会、国連とともに、ロシアによる侵攻開始から昨年12月末までに発生した被害を基に、緊急支援の必要性を評価した報告書を発表した。これによると、住宅需要が最も多く、推定費用全体の17%に当たる約800億ドル(約12兆円)と試算されている。次いで、運輸(約740億ドル、約11兆円、全体の15%)、商工業(約675億ドル、約10兆1200億円、同14%)、農業(約560億ドル、約8兆4000億円、同12%)、エネルギー(約470億ドル、約7兆500億円、同10%)、社会・生活保護(約440億ドル、約6兆6000億円、同9%)、危険物管理(約350億ドル、約5兆2500億円、同7%)となっている。これに加え、がれきの撤去と管理にかかる費用だけでも110億ドル(約1兆6500億円)近くに上るという。

ロシアはウクライナ人の国家とアイデンティティーを破滅させる運動の一環として、ウクライナを攻撃し、人々や文化、生活基盤を破壊している。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、この狙いを隠そうともしなかった。

軍事侵攻が2年の節目を迎えようとする中「戦争疲れ」によって戦闘や残虐行為から別のものへと私たちの関心も移り変わりつつある。ロシアが引き起こした軍事侵攻が、ウクライナ人の現実の生活であり続けていることを私たちは忘れてはならない。ウクライナ人は毎日、警報の音で目を覚ましている。負傷者や死者も日常的に発生している。人々は毎日、トラウマを抱えながら生きているのだ。

また、これがウクライナへの最初の攻撃ではないことも忘れてはならない。国際社会は、2014年のウクライナ危機を含め、同国に対する攻撃や残虐行為に対処できなかった過去の過ちから学ばなければならない。ウクライナ人は、自分たちのアイデンティティーと国家の存続のためだけでなく、世界中のために戦っている。戦いを続けるために、ウクライナはあらゆる支援を必要としている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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