ウクライナは新たなEWの開発にあたり、進歩的な商業セクター、中でも先進的な通信技術を活用できる。この分野における同国の技術基盤は強力で、ロシア侵攻前には通信産業が盛んだった。キーウは、IT企業や新興企業の一大拠点だったのだ。こうした技術的知識に加え、多くの技術者や科学者が戦争に直接参加して、軍事システムや戦術に詳しくなった。ドローン技術における最近の成果を見ても、民間部門でのEW開発拡大というウクライナの目標は成功する見込みがある。
この戦略は、国営の防衛関連企業がシステムを開発するロシアのアプローチとは対照的だ。ロシアの国防部門は歴史的に、商業部門と切り離して運営されてきた。その結果、開発期間が長期化し、商業技術の進歩を軍の装備に活用できない状況が生まれた。この問題に対処するため、ロシアはイランからのドローン調達など、新たな軍事技術の導入を他国に頼るようになっている。
EWシステムが強化されれば、戦場でのウクライナ軍の優位性が向上するはずだ。特に、技術の進歩によってドローンやミサイルの航行や攻撃命令に欠かせない信号を妨害し、ロシアの攻撃を阻止し続けることができる。また、ロシア部隊の連携を阻害することで、敵の攻勢の効果を限定的にとどめられる。さらに、ロシア軍の無線機や兵器システムの位置を非常に正確に突き止められるため、標的を絞った砲撃が可能になる。EWシステムは地雷原を処理する役割も果たせることから、ウクライナ軍の戦術能力向上にも貢献する。
戦争の長期化はロシア・ウクライナ双方に、自軍の戦術的優位性を求めて新技術を開発・配備する機会をもたらした。両国ともEWシステムの開発を進め、電磁スペクトルの支配を確立しようとしている点は注目に値する。
ウクライナが目指す民間でのEW開発は、ドローン分野での成果と同様に、革新的なソリューションを生む可能性を秘めている。電磁スペクトルを効果的に制御できれば、ウクライナ軍は対ロシア戦で大きく優位に立つだろう。
(forbes.com 原文)