ISWは、ロシア軍の航空戦力が地上作戦で決定的な役割を果たしたのはおそらく、この2年で初めてのことだったと指摘している。
もっとも、これは必然的な成り行きではなかった。また、代償もなかったわけではない。ウクライナ軍の防空は17日、アウジーイウカの東100kmあたりの上空でロシア空軍のスホーイ3機を撃墜した。ウクライナ軍に3基配備されている米国製パトリオット地対空ミサイルシステムの1基が使われた可能性がある。ウクライナ軍はさらに、18日に4機目のスホーイを撃墜したとも主張している。
滑空爆弾を撃墜し、KABによる壊滅的な爆撃を防ぐシステムがウクライナ側にあるのは明らかだ。足りないのはそれを実行するためのミサイルだ。射程140km超のパトリオットミサイルも、ウクライナにとって最大の供給国は米国だった。しかし昨年10月以来、ウクライナの戦争努力に対する米国の援助は米議会のロシア寄りの共和党議員たちによって阻まれている。
ウクライナの内相顧問などを務めたアントン・ヘラシチェンコは、ウクライナ軍のパトリオットの在庫は「危機的な水準に落ち込んでいる」と訴えている。
確かに欧州諸国からウクライナに近く第一陣が到着する見込みのF-16戦闘機は、パトリオットの不足を埋め合わせるのに役立つかもしれない。
オーストラリア陸軍退役少将のミック・ライアンはウクライナ軍のF-16について「ウクライナの都市やインフラに対してミサイルを発射するロシア軍爆撃機をさらに遠くに押しやることや、ロシア軍の戦術航空部隊の要撃が重要な任務になりそうだ」と解説する。「それには滑空爆弾を発射するロシア軍機を破壊したり、その効果を低減したりすることも含まれる」
とはいえ、F-16が滑空爆弾搭載の爆撃機を攻撃するにはロシア軍の戦闘機や防空をかいくぐる必要がある。危険性は高い。
ロシア軍のKABに対するウクライナ側の最善の防御は、やはりパトリオットになる。そして、ウクライナ側にパトリオットミサイルがなければ、ロシア側がアウジーイウカ爆撃で収めたような成功を繰り返そうとするのは間違いない。
パトリオットがなければ、ウクライナのさらに多くの都市がロシア軍の滑空爆弾の嵐にさらされ、陥落することになるだろう。
(forbes.com 原文)