英教育誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)が毎年まとめている「世界の大学評判ランキング」で、ハーバード大学が13年連続1位となり、世界最高の高等教育機関に輝いた。
ハーバード大学にとっては、歓迎すべき知らせとなった。というのも、同大学のクローディン・ゲイ学長が2024年1月、辞任に追い込まれたばかりだからだ(この辞任は、2023年12月に開催された、反ユダヤ主義を巡る大学の対応を問う下院公聴会にゲイ学長が出席した際の言動などが問われた結果だ)。今回の大学評判ランキングは、ゲイ学長の辞任前に決定されていたものだ。
ハーバード大学を先頭に、ランキングの1位から7位までを米英の大学が独占した一方で、中国の大学が上位との差を縮めつつある。清華大学は、2023年より1つ上の8位に、北京大学も13位から11位に、ランクを上げているのだ。
THEの最高国際情勢責任者フィル・ベイティーは「大学の評価は非常に重要だ。それは、高等教育の世界における世界的な通貨であり、大学が、才能ある人材を引きつけて彼らを保持し、共同研究の誘致や投資を呼び込むことに役立つ」と話す。「さらに、出身大学の評判が高ければ、世界の労働市場で学生や卒業生たちが必要とする評価につながる」
大学評判ランキングは、同じTHEが総合的に判断する「世界大学ランキング」とは異なるものだ。世界大学ランキングは、教育、研究、国際性を含む幅広い領域に関して、諸大学を比較して決定される。一方、大学評判ランキングの方は、影響力を持つ著作物のある世界中の有力な研究者が、各大学をどう見ているかという点に着目して決定されている。
ハーバード大学は、大学ランキングでは4位だが、大学評判ランキングでは、その世界的な知名度で確固たる地位を築いている。
英オックスフォード大学は、大学ランキングでは2017年から8年連続1位だが、大学評判ランキングでは、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学、スタンフォード大学に続く4位だ。
2023年世界の大学評判ランキングは、世界166の国や地域の4万人近い学者を対象に、各自の専門分野で最高と思われる大学を挙げてもらう調査を実施し、上位200大学をランク付けした。
中国の大学がランキング上位に入ったことは、特に注目に値する。なぜなら中国の大学は、言語の壁がある上に、米国や英国の教育機関と比較すると、外国の学者に対してあまり開かれていないからだ。
「エリート高等教育において、超一流大学の力関係が変化しつつあることは明らかだ」とベイティーは話す。「米国と英国には、現在も、最も権威ある名門大学が存在しているかもしれないが、北京にある2つの一流大学が大学評判ランキングのトップ校に迫りつつある。全体的にみると、米国と英国は中国の勢いに押され気味だ」