アート

2024.02.20 11:15

キュレーションの価値を高めたい。「The 5th Floor」がクラファンで資金調達

「二羽のウサギ」展示風景。撮影:Jukan Tateisi

「二羽のウサギ」展示風景。撮影:Jukan Tateisi

東京・根津にあるキュレトリアルスペース「The 5th Floor(ザ・フィフス・フロア)」が、READYFORでクラウドファンディングを実施している。資金を得て活動を飛躍させるのが目的で、目標金額は500万円。20日ほどが経った今、100人以上が賛同し、支援金はまもなく300万円に迫る勢いだ。

The 5th Floorは、2020年2月、根津・池之端に誕生したオルタナティブ・スペース。元社員寮の5階3部屋、バルコニーや屋上など特有の空間を活かし、意欲的なキュレーション主導のプログラムを開催してきた。また、地域大学によるワークショップ、国内外キュレーターを招請し展覧会を制作する「Curator in Residence」も展開するなど、若きキュレーターのための実験の場として機能している。
 「Dyadic Stem」展示風景

「Dyadic Stem」展示風景


設立の背景、また活動の根底には、日本のアートシーンにとりわけ若い世代のキュレーターが圧倒的に不足しているという課題意識がある。展覧会を筆頭にアートの「場」をつくるキュレーターは、“アーティストの並走者”といわれる。アーティストに寄り添いながらも、ときに社会や世界といった客観的な視点を投じることで、アーティストの可能を広げる存在だからだ。

しかし、そのキュレーターが成長し、活躍するためには、既存の教育機関や美術館のシステムでは限界があり、より自由度の高いキュレーションの“実践”を通して学びを深めることができる環境が求められている。

The 5th Floorではこれまで4年間で、約40の展覧会を行い、50名のキュレーターが参加してきた。キュレーションの質や個々のアーティストを第一に考え、商業的な利益をあげることを目的にしてこなかったが、依然日本のキュレーターが弱い現状に、活動を加速させる必要性を痛感。クラウドファンディングという新たな試みでサポートを募り、「日本のアートシーンの未来づくり」に貢献していく。
バンコクのSpeedy Grandmaでのトークイベントの様子

バンコクのSpeedy Grandmaでのトークイベントの様子

クラウドファンディングの支援は1口5000円からで、コラムメールや展覧会設営見学などのリターンが用意されている。最高額プラン150万円の「ご要望に応じたキュレーション」というのもこのプロジェクトらしくて面白い。

全額目標金額を達成した場合のみ支援金を受け取ることができる「All or Nothing」のプロジェクト形式で、期間は3月29日まで。集まった資金は、The 5th Floorで開催する展覧会やイベントの予算とするほか、それぞれの実践を記録し、国内外に共有するためのアニュアル・ブックの制作費にあてられる予定だ。
ANNUAL BOOK 2020±1 Photo by Jukan Tateisi

ANNUAL BOOK 2020±1 Photo by Jukan Tateisi

写真=The Fifth Floor提供

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