テンペストの特技は、未来のテクノロジーのプロトタイピングにイリュージョンを使うことだ。イマーシブ(没入的)な体験を作り出すことで、ユーザーが事実上、明日のテクノロジーをいま体験できるようにすることもそのひとつだ。これによって、新たに出現する技術が、人とどのような相互作用を起こすかについて、貴重な洞察を得ることができる。
2月8日、テンペストは自身の最新の成果をひそかに発表。世界初のコンピュータープログラマーであるエイダ・ラブレスの物語を、リアルタイムAIストーリーテリングによって蘇らせた。「この作品は、ウェブカメラ付ノートパソコンで、エヌビディアの『エイダ・ラブレス』アーキテクチャを使ってレンダリングしたもので、彼女のビジョンの本質である『機械にはアートを創造する能力がある』を具体的に示しています」とテンペストはメールで述べている。
ラブレスは、コンピューターの開発における重要人物であり、この方法で蘇らせるには最適な題材だ。1833年、17歳の若き貴婦人は「階差機関」と呼ばれる巨大で複雑な計算機を作るための資金を集めていた風変りな科学者チャールズ・バベッジと出会った。その機械は当時の工業用織機のようにパンチカードを使ってプログラムするものだった。ラブレスはそのカードのためのプログラムを書く仕事を引き受けた。彼女は、いつか機械がアートを生み出せるようになると心に思い描き、200年近くたった今、それが実現した。