「アウジーイウカはKABだ」と第3強襲旅団の兵士エゴール・シュガーはX(旧ツイッター)に書き込んだ。「人類が生まれてこの方、このような狭い範囲に投下された航空爆弾としては最多ではないか」
ウクライナ空軍はスホーイからの防御に苦戦した。同空軍が保有する長距離防空ミサイルシステムはわずかで、巡航ミサイルやドローンによる大規模な攻撃から民間人を守るために、そのほとんどをウクライナの大都市周辺に配備している。
だがこれらのシステムのうち、特に米国製の地対空ミサイルシステムのパトリオットはかなり機動性が高い。そしてウクライナ軍の兵士らは、複雑なパトリオットを巧みに操作してこれまでに何度か待ち伏せ攻撃している。最も注目すべきは、昨年12月にウクライナ南部でウクライナの海兵隊に滑空誘導爆弾を落とそうとしたSu-34を3機撃墜したことだろう。
アウジーイウカは陥落した。戦前の人口3万人のほとんどが随分前に町を去り、廃墟と化したアウジーイウカはウクライナにとって戦略的に重要な場所ではない。おそらく、ロシア軍を消耗させる罠として最も価値のある場所だった。
その意味で、アウジーイウカ、そして同地を最後の日まで守り抜いた兵力と武器に劣るウクライナ兵らは目的を果たした。アウジーイウカでの抗戦で多くのロシア兵を始末することができた。そして今回のスホーイを含め、少なくとも数機のロシア軍機を撃墜した。
2年にわたる激しい戦闘で、ロシア軍は保有していた150機ほどのSu-34のうち約30機を失った。もしウクライナ軍の防空システムが、射程約145kmのパトリオットのミサイルなど最高品質の米国製ミサイルを著しく欠いていなければ、ウクライナ軍はもっと多くのロシア軍機を撃墜していたと言っても過言ではないだろう。
だが昨年10月以来、米議会のロシア寄りの共和党議員らはウクライナへの追加支援法案の承認を拒んでいる。この追加支援は、ミサイルや装甲車両、そして最も重要なことに、第110旅団のような弾薬不足のウクライナ軍の旅団に砲弾を追加提供するためのものだ。
(forbes.com 原文)